20世紀のアメリカを代表するジャーナリスト、ウォルター・リップマンはユダヤ系の出自だった。 だが、彼はアメリカのエスタブリッシュメントに加わることに力を注ぎ、自らがユダヤ系の生まれであることにこだわりは見せなかった。むろん、それは個人の生き方の選択なので、そのことで非難されるいわれはない。出自に関わらず、自己がどのように生きるべきかを選択する自由はあっていいとぼくは思う。 しかし、アメリカにおけるユダヤ人への差別について、リップマンの考え方には明らかな誤りがあった。このエントリでは、リップマンの間違いについて考えることで、差別の問題について改めて述べてみたい。 19世紀末から20世紀前半にかけて、東欧からのユダヤ移民が増えたこともあり、アメリカではユダヤ人に対する差別が社会全体で強まっていた。たとえば、ハーバード大学などの私立大学はユダヤ人の入学を制限する動きに出ている。 そうした状況のな