ヒトのiPS細胞から大きさが数ミリの”ミニ肝臓”を作り出す研究を進めている横浜市立大学の研究グループが、本物の肝臓と同じレベルで有害物質を処理することができる従来よりも高性能の”ミニ肝臓”を作り出すことに成功しました。 グループでは今回、新たに肝臓の中を走る血管の細胞などもiPS細胞から作って、ミニ肝臓を作り出したところ、人体にとって有毒なアンモニアを無害な物質に変える機能がヒトの肝臓の細胞と同じレベルに高まったほか、アルブミンと呼ばれる血液中のタンパク質を作り出す機能もこれまでの2倍になるなど、大幅に機能を高めることに成功したということです。 グループでは、平成31年度にも重い肝臓病の患者への臨床研究を始める計画で、谷口教授は「実際の治療に向け大きく前進したと言える。iPS細胞は腫瘍を作るリスクも指摘されているので、そのリスクをどのようにコントロールしていくか、さらに研究を進めたい」と話
血液をつくる造血幹細胞を取り出し、体外で様々な血液細胞に変化できる能力を保ちながら無限に増やせる方法を開発したと、理化学研究所と京都大再生医科学研究所などのチームが発表する。増えた細胞は主に白血球に変わるので、体内に戻してがん細胞を攻撃させるという治療法に応用できる可能性があるという。 造血幹細胞は主に骨髄にあり、増殖しながら白血球や赤血球、血小板などに変化する。ただ、体の外に取りだすと、うまく増えず、血液細胞を体外でたくさん作ることは難しかった。 研究チームは、マウスの胎児の肝臓から造血幹細胞を取りだし、特定のたんぱく質の働きを邪魔する遺伝子を組み込んだ。すると、血液細胞などになる前の段階で増え、1カ月で1万倍になった。条件を変えると、この細胞は様々な血液細胞に変化した。 造血幹細胞にこの遺伝子を組み… この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 この記事は有
これまでの遺伝子組み換え技術よりもはるかに正確に遺伝子を操作できる「ゲノム編集」と呼ばれる技術を使い、高級魚として知られる「マダイ」を通常の1.5倍程度の重さにまで大きくすることに京都大学などの研究グループが成功しました。今後、魚の品種改良が本格的に始まる可能性があると注目されています。 「ゲノム編集」は、これまでの遺伝子組み換え技術よりもはるかに正確に遺伝子を操作できる技術で、ここ数年、急速に研究が進んでいます。 研究グループは、この技術を使い、高級魚として知られるマダイで筋肉の量を調節している「ミオスタチン」という遺伝子を操作しました。 その結果、ふ化して1年の時点で、大きいもので通常の1.2倍から1.5倍の重さにまで育つマダイを作り出すことに成功したということです。 食品としての安全性は、今後、検討されるということですが、この技術を使って魚の品種改良が本格的に始まる可能性があると注目
By Beverly Slone 「クモの糸」は鋼鉄より高い引っ張り強度・靱性(じんせい)・ヤング率をもち、天然物質で最高の強度を持つと言われています。一方で、人工物質で最高レベルの強度を誇るのが高機能材料として近年、注目を集めるカーボンナノチューブやグラフェンです。これらの天然最強物質と人工最強物質を混ぜ合わせたら一体どうなるのかという素朴な疑問を試すべく、イタリアの科学者がグラフェンやカーボンナノチューブを混ぜた水をクモに拭きかけたところ、史上最高強度のクモの糸が誕生しました。 [1504.06751] Silk reinforced with graphene or carbon nanotubes spun by spiders http://arxiv.org/abs/1504.06751 Spiders Ingest Nanotubes, Then Weave Silk Rei
体毛がなく、長寿でがんができないなどのユニークな性質を持つ「ハダカデバネズミ」の全遺伝情報(ゲノム)解読に、韓国と中国、米国、デンマークの共同研究チームが成功した。 細胞の老化を防ぐ遺伝子が活発に働き続けるなど、人や他のネズミとは違う特徴が見つかった。仕組みを調べ人で再現する薬を開発すれば、抗加齢やがん治療に役立ちそうだ。13日付の英科学誌ネイチャーに発表する。 ハダカデバネズミは、アフリカ東部のサバンナに80匹程度の集団で生息。大きさはマウスとほぼ同じだが、平均寿命は28年とマウス(2~3年)の約10倍。運動能力も20年以上衰えないなど、若さを保つ驚異的な能力が注目を集めている。 解析の結果、遺伝子の数は人や他のネズミとほぼ同じ2万2561個だが、固有の遺伝子グループが96種類あった。細胞の老化に伴って短くなる「テロメア」を保護する遺伝子や、DNAの傷を補修してがん化を防ぐ遺伝子などが活
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