シズル感という言葉がある。肉がじゅうじゅういいながら焼けている様子を表す擬音語sizzleから出来た言葉だ。語源の通り、シズル感のある写真というと、うまそうな感じを見る人にそのまま伝わるよう閉じこめた写真、ということになる。このテクニックを使えばどんなものでもうまそうに表現出来るのではないか。そう、どんなものでも。 (安藤 昌教) 梅雨だから地味なことするぞ シズル感を表現する方法はさまざまだが、最も手軽でよく使われる方法に水滴を吹きかけるという方法がある。ビールの缶やアイスクリームのカップに水滴が付いているとよく冷えていてうまそうに見えるだろう、あれだ。しかし実はあれ、撮影用につけられた「後付け」の水滴であることが多い。撮影現場では強力な光源を使うため、水滴の出方を自然に任せると撮影中に被写体がぬるくなってしまい水滴が潰れてしまうのだ。同じように泡や湯気も人工的に作っていることが多い。撮