「この世は謎に満ちている」という言葉は比喩ではなく、最新の科学的成果に基づく正確な世界描写であるようだ。2009年ヨーロッパ宇宙機関が打ち上げたプランク衛星によって得られた高精度なデータを基に2013年に発表された研究結果によれば、宇宙の26パーセントをダークマターが、69パーセントをダークエネルギーが占めているという。我々を形作っている原子や空を照らす光などの通常物質が占めるのはわずか5パーセントに過ぎないのだから、この世は謎に満ちているどころか謎だらけといっても過言ではないだろう。 本書はダークマターの専門家であるミシガン大学教授の著者キャサリン・フリースが、科学者達がこの100年間どのように競い合いながら宇宙の謎に迫ってきたか、そして世界の姿はどれだけ明らかになっているのかを解説する。著者が「21世紀は宇宙論の黄金時代」というように、この数年の間にも新たなデータが発見され続けており、