2018年5月25日 日本銀行調査統計局 金田規靖*1 佐藤嘉子*2 藤原裕行*3 鈴木純一*4 全文 [PDF 686KB] 要旨 資金循環統計を用いて最近のわが国の資金フローをみると、2000年度以降、家計と事業法人では資金余剰、政府と海外では資金不足になる状況が続いている。もっとも、仔細にみると、2000年代前半は、1990年代から続くバランスシート調整により、家計、事業法人とも金融負債の削減が進行していたが、最近の資金余剰は、低金利環境とその下での景気回復が続く中、家計、事業法人とも、金融負債の拡大を伴っている。 また、事業法人の資金余剰については、資金循環統計で「金融資産」に計上されている対外直接投資を「海外への実物投資」とみなして除いてみると、2000年代よりも2010年代の方が縮小した形になる。企業における国内での成長期待が海外と比べ低位にとどまる中、大企業を中心に海外投資を