■要旨 平成29年1月に公表された内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」によると、2020年度の基礎的財政収支の赤字が8.3兆円となることが示され、黒字化目標の達成が難しい見通しとなった。 日本の一般政府債務残高(以下、政府債務)については、広く知られているように総債務残高(グロス)の水準は世界でも突出している。また、負債から政府が保有する金融資産を差し引いた純債務残高(ネット)についても、世界ワーストクラスの水準となっている。日本の政府債務は、戦後から1970年代にかけては、先進国の中でも相対的に低い水準であったが、1970年代以降は上昇傾向となっている。特に、1990年代以降は急速に上昇し、先進国一の水準となっている。一方で、他の先進国においては、この期間の上昇幅は大きくない。 では、1990年代以降、日本だけが急速かつ大きく政府債務を増加させたのはなぜだろうか。原因としては、少子高