「京菓子の文化的側面にもっとふれてほしい。周りと接点を増やし、ウィンウィンの関係を作っていければ」と話す山口さん(京都市下京区) 京都の和食や和菓子、酒の職人らが、秘伝のレシピを本にまとめたり、同業者と共同開発したりして、伝統の手仕事の新たな付加価値を探るチャレンジを広げている。通底するのは、培った自分たちの知識や経験、技術を囲い込むのではなく、広く発信して共有しながら、次代につなげていこうという「和」の精神だ。温故知新を実践する職人たちの矜持(きょうじ)と遊び心がのぞく。 1893(明治26)年創業の京菓子司「末富」の4代目主人の山口祥二さん(62)は京都の四季の移ろいを託して作り続ける和菓子の魅力を自著「末富の京菓子」(淡交社)で分かりやすく伝えている。 和菓子作りの傍ら、同志社女子大や大谷大で非常勤で文化論を講義する山口さんは、学生から「京都の古い菓子屋さんは入りづらい」といった声を