入社試験の選考過程で、学生に自社製品を配る取り組みを進める企業がある。学生は採用の対象だけでなく、将来は大事な「お客様」。よき理解者になってもらおうという狙いだ。「落選」してもファンでいてもらおうと、自宅に自社製品を届ける企業もある。 東京都内の女子学生(21)の自宅に4月初旬、就職先として応募したカゴメから小ぶりの段ボール箱が届いた。約1カ月前、同社への就職を希望して履歴書や志望動機などを記した書類を送っていたが、数日前に「不可」という選考結果がメールで届いたばかり。箱には、同社のジュースと調味料が詰められ、添えられたカードにはこう記されていた。 「今回はご期待に沿えませんでしたが、就職先として興味を持っていただき、大変感謝しております」 学生は「何時間もかけて書類を作って応募しても、メール1通で不採用を通知する企業が多い。そんな企業の商品は買う気はなくなる。丁寧な対応が新鮮だった