主役は大泉洋。ハードボイルドやフィルムノワールに付き物の“ファム・ファタール”には小雪。これらの名前が並び、しかも舞台は北海道随一の歓楽街ススキノとくると、これはもう某ウィスキー・メーカーが裏で事件を操っているとしか言いようがない。ひとりだけ「トリス!」と叫ぶべき女の子がいないなと思っていたら、途中で案の定、カメオ的に顔を出した。やっぱりこの事件の犯人は、ウィスキーだ! …などとブラックニッカを呑みながら、多少イイ気分になって書いている。 東直己のススキノ探偵シリーズ「バーにかかってきた電話」(ハヤカワ文庫)の映画化である。東映作品として大ヒットを飛ばした劇場版『相棒』のスタッフが再集結して手掛けているのだとか。こちとら恐縮ながら「相棒」のドラマも映画も観たことがない。そんな僕ですが、楽しめるでしょうか?とお伺いを立てるようにして見始めて、開始早々ノックダウンを食らった。雪降りしきる繁華街