気が付けば12月である。 まだクリスマスというビッグイベントが控えているとはいえ、そろそろ各家庭でも年末を意識し始めているのではないかと思われる。今年も色々なことがあったよなあ……と、この一年を振り返り始めている人も少なくないはずだ。かく言う私はというと、この文章を書きながら、ナントカ細胞やナントカ作曲家やナントカ号泣会見などのことを思い出し、面白そうな話題が多すぎて爆笑問題が漫才作りに困っているのではないか、などと余計な心配をしている。彼らがどうやってもろもろの事件を笑いに変えてくれるのか、今から正月特番が楽しみだなあ……と、呑気に構えている場合ではない。この一年を振り返る上で、私にはどうしても考えなくてはならないことがあった。いや、厳密にいうと、なかった。それがなかったという事実が、私にとって非常に大きな問題なのである。 今から20年前の1994年。ある漫才師が産声を上げた。テキトーな