16歳、初めて自分が難民だと知った —— 。 在日コリアンの趙正美(チョウ・チョンミ)さん(44)は、長い間パスポートのない生活を送ってきた。 自身の経験をもとに難民のために働きたいと、電通から世界的な人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(以下HRW)に転職したのは6年前。だが、今、再び国家によって翻弄される事態になっている。 趙さんはHRWの東京オフィスで発展戦略・グローバル構想局ディレクターとしてファンドレイジングや広報などを担当してきた。念願叶ってアメリカ・ニューヨーク本部での勤務が決まったが、待っていたのは思わぬ事態だ。 「就労ビザの審査が厳格化して、いつ取得できるか分からない状態なんです」(趙さん) 趙さんが申請しているのは、「H-1B」という高度な専門知識や技術を持つ外国人労働者を対象にしたアメリカの就労ビザ。この審査が厳格化し、長期化しているのだ。追加料金を支払えば約15