内藤朝雄さんのもう一つの重要な指摘は、マスメディアの報道に関するものだ。それは多くの人の不安をあおり、間違った認識を広めるというものだ。 今回の事件も10年前の事件も滅多に起きない特殊な事件であるにもかかわらず、報道された加害女児については日常生活としてはごく普通の振る舞いをしていたように見える。いったい特殊なのか普通なのかが見えてこない。もし普通の人間がこのような事件を起こしたと考えるなら、どの子どもにもそのような可能性があるという発想になるだろう。 加害女児の持っている特殊性をどのように理解するかというのは、この事件を解釈する上で非常に重要なものになる。しかし、マスコミは視聴者を驚かせるセンセーショナルな話題の方を視聴率が稼げるという理由で採用したがる。それがどのような結果を生むか。 10年前の事件について内藤朝雄さんはNHKの取材について次のように答えたらしい。 「佐世保の小六殺人の