狐火の家 作者: 貴志祐介出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2008/03/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 32回この商品を含むブログ (57件) を見る 弁護士・青砥純子と防犯探偵・榎本径が活躍する、『硝子のハンマー』に続く密室シリーズ第2弾である。とはいえ、今回は長編ではなく短編集で、雑誌掲載の短編3本と書き下ろしの更に短い短編が1本収録された。節々にこの二人のユーモラスなやり取りが挟まれるのが特徴である。 最初の「狐火の家」は、田舎のリンゴ園近くにあった家で、一家の長女が殺害されるというもの。密室を構成するのはその家屋そのものである。密室ものとしてはすっきりしたトリック、それと裏腹のやや煩雑な推理作法はいかにも本格推理小説のそれっぽい。収録作品中では、恐らく最もかっちりした本格推理と言えるだろう。なお話の雰囲気も本編が一番深刻である。 続く「黒い牙」は、ある動物を