教育社会学者の本田由紀氏はその著書『若者と仕事』(東京大学出版会)の中で、日本の教育システムの最大の問題点をその「職業的意義(レリバンス)」の欠如に求めている。教育に職業的意義がないというのは、学校で学んだ教育内容が就職後の職業生活にほとんど意義を有していないということである。若者自身の主観的な評価においても、また団塊の世代を対象にした職業的自律性に関する客観的な評価においても、学校教育は職業キャリアにほとんど影響を与えていないのだ。 といえば、日本は名にし負う学歴社会ではなかったのか? との疑問が湧こう。いやもちろん、学校教育は職業キャリアに大きな影響を与えている。ただし、教育内容ではなく、学校の偏差値が。その学校で何をどれだけ学んだかではなく、その学校に入る段階の学業成績が。就職の際に企業が若者に求めるのは、その企業で使える技能を学校で身につけてきたかどうかではなく、その企業で一から厳