「従来型のセキュリティ対策は通用しなくなったという、話を聞きました。これまでと、何か違うセキュリティ対策が必要なのでしょうか」――。そんな質問を受ける機会があった。背景には、新聞やテレビを賑わせるセキュリティ事故があるのだろう。それを受けたセキュリティベンダーの売り文句も影響しているのかもしれない。 「セキュリティを取り巻く環境は、悪化している」「従来型の対策は通用しなくなった」といったフレーズは今や珍しくなくなった。サイバー環境での事件が増加していることは事実だ。警察庁の統計データにも、数値として現れている。 ただ、“サイバー環境のセキュリティ事情が悪化した”というより、“変化している”と捉える方が、より的確に状況をとらえているように思う。要は、私たちの社会活動における、社会的な重要性が高まるにつれ、従来、リアルな世界で起こっていた犯罪が、サイバー環境でも発生するようになったということだ