「社内の人間が顧客リストや新製品情報を外部へインターネットで送信する――。IT(情報技術)の浸透により、社外秘の情報が簡単に漏れるようになった。対策は、経営者が音頭を取って全社員のセキュリティー意識を高めるしかない」 以上は筆者が日経ビジネスに寄稿した『情報漏洩を防ぐには システム面の対策には限界。教育で抑止を』という記事の書き出しである。「対策は」ではなく「対策としては」と書いたほうが良かったと思うがそれはさておき、記事の題名と書き出しからお分かりの通り、内部犯行による情報漏洩についての警告と対策をまとめたものだ。 その記事は日経ビジネスの2003年2月3日号に掲載された。念のため繰り返しておくと2013年ではなく「2003年」である。当時の筆者は長年在籍した日経コンピュータ編集部を離れ、新雑誌の開発を手がけていたが、なかなか企画をまとめられずにいた。 ある日、社内をうろうろしていたとこ