パーソナルデータ(個人の行動に関する情報)を活用したい企業には利便性を高め、市民のアクセスは個人情報保護のために制限する−−。自動車登録情報の扱いは、簡単に言えばそういうことだ。 ■原則公開の公証制度 自動車登録情報が個人情報保護法の適用外なのは、原則公開の公証制度だからだ。公証制度の目的は、情報を社会が共有し、取引の安全性を高めて個人の財産保護を図ることだ。不動産登記簿が、所有者の住所・氏名に加えて借金の担保に入っているかどうかも記し、誰でも見られるのはそのためだ。 自動車登録制度を定める道路運送車両法も「所有権についての公証」を法の目的の筆頭に掲げ、「何人も(登録事項証明書の)交付を請求できる」と定めている。車も借金の担保にすることが法的に認められており、自動車登録は車の登記でもある。国土交通省が「個人情報保護法の適用外」と説明するのはこのためだ。
他人に知られたくない過去の個人情報について、検索エンジンによるリンクの削除を最大手・米グーグルに求めた欧州連合(EU)司法裁判所の「忘れられる権利」判決が、世界のメディアや司法関係者の間で大きな話題になっている。インターネット時代、大きな影響力をもつようになった検索エンジンによる情報アクセスについて、個人情報との兼ね合いからどの程度まで制限するのが適切なのかという、極めて今日的な問題がテーマとなったからだ。プライバシーを巡る問題は、人々の「知る権利」や「表現の自由」とも関係しており、今判決には、インターネットやソーシャルメディアを通じた情報伝達に本腰を入れる報道機関にとっても、「対岸の火事」と放置できない要素が含まれている。【尾村洋介/デジタル報道センター】
「忘れられる権利」判決についてインタビューに答える中島美香・情報通信総合研究所研究員=情報通信総合研究所で2014年6月4日、尾村洋介撮影 「忘れられる権利」は、なぜ認められたのか。欧州連合(EU)司法裁判所の判決の報道文を、仮訳して公表した情報通信総合研究所の中島美香研究員と小向太郎主席研究員に判決の意義や背景を聞いた。【聞き手・尾村洋介/デジタル報道センター】 −−判決の意義は? 中島 一番大きな意味があると思っているのは、検索サイト自身が責任を求められた点です。リンクの先にある元の情報は適法であっても、検索サイト自体の責任を認めている点で注目に値します。検索情報それ自体が、EU個人データ保護指令の対象になるということが述べられていることに意味があると思います。 −−EU指令は、法的にどのような意味を持っていますか?
欧州連合(EU)司法裁判所の「忘れられる権利」判決では、インターネットの世界で大きな影響力を持つ検索エンジンが規制対象となった。日米欧の情報政策に詳しい生貝直人・東大大学院特任講師に、その意味と今後の展望を解説していただいた。【聞き手・尾村洋介/デジタル報道センター】 −−判決では、報道機関ではない検索エンジンの運営会社に対し、情報の「適切性」を判断しなければならないとの責務を課しました。 ◆今回の判決で最も難しい点だと思います。これまでは検索エンジンは(違法性や権利侵害の疑いが強い情報の削除に関して)基本的には裁判所からの命令があった際に削除するという対応を採ることで、価値判断を伴わない削除・非削除の一定の「線引き」が可能になっていましたが、(今回、EU司法裁判所が認めたような)データ保護指令に基づく削除請求では、検索エンジンは第一義的にその価値判断を行わなければならなくなります…
重大な欠陥「ハートブリード(Heartbleed、心臓内出血)」が4月に発覚したばかりの暗号化ソフト「OpenSSL(オープン・エス・エス・エル)」で、悪意ある第三者に通信を盗み見られたり改ざんされたりする可能性がある欠陥が新たに見付かった。ソフトが公表された1998年以来、約16年間も気付かれなかった珍しいケース。同ソフトの開発者は6月5日夜、ウェブサイトで修正版を公表し、対処を呼びかけている。 この欠陥は、セキュリティー企業レピダム(東京都渋谷区)シニアプログラマーの菊池正史氏が発見した。開発者が欠陥を公表するとすぐに、自社ウェブサイトに、発見の経緯や詳しい解説を載せた。菊池氏は毎日新聞の取材に「OpenSSLのセキュリティー向上に貢献できてうれしい」と話した。
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