前回は、「二者関係から三者関係へ」というふうに、人間関係を類型化して整理することで、現在のサブカルチャー作品において問題になっていることの一側面を強調した。そこにおいて、とりわけ、関心を引く人間関係の形式とは、バトルロワイアルであり、他者との関係が、そこで、どのようなものになっているのかと問うことは非常に重要なことであるように思える。 バトルロワイアルという形式を持ち出す作品において問題になっていることは、ひとつのジレンマだと言える。それは、『新世紀エヴァンゲリオン』でも言及されていた「ヤマアラシのジレンマ」に似たものであり、つまり、敵対的な他者と共存していくことの矛盾がそこでは問題になっているのである。そこで想定されている他者とは、自己の利益を最大限に満足させるために行動しているような他者であり、そのような他者に対して攻撃性を緩めることは、自己の利益を大幅に損なうことに繋がるわけである。