一見して、“ガンダムVSガンダム”という、いかにも低俗なケレン、客寄せパンダ的発想で企画されたように見えるOVAシリーズ『0083』だが、できあがった作品は、極めて手堅く作られたものだった。 全編を通じて、ジオン残党軍を、理想のために戦う兵士達として、とにかくカッコ良く描いたこと。思想そのものの是非は問わない姿勢も終始一貫しており、潔い。もちろん、メカ描写に関しても評価が高い。富野監督以外の作品としては唯一、単独で劇場映画化されたという事実も、人気のほどを物語っている。私個人の周囲でも、この作品に対する批判は、ヒロインのニナに関するものに集中しているようである。概ね好評と言ってよかろう。 ガンダム強奪に始まる「星の屑」作戦。大気圏離脱用ブースターを装着したコムサイによる機体回収が失敗すると、支援のユーコン級潜水艦でアフリカへ回送、HLVで宇宙へ打ち上げる。シリーズ構成上は中盤の山場であ