劇場版『宇宙戦艦ヤマト』に沸いた1977年、TVアニメはまだ『合身戦隊メカンダーロボ』『超合体魔術ロボ ギンガイザー』等の巨大合体ロボットものが多くを占めていました。といっても1974年の『ゲッターロボ』以来続いてきたブームですので作品タイトルにも苦心の跡が見られます。 そんな中で注目は10月から放映開始した富野喜幸(当時)監督の『無敵超人ザンボット3』です。巨大ロボットの存在が社会に及ぼす影響、戦闘に巻き込まれた市民の被害感情と主人公たちに向けられる敵意、視聴者にとってトラウマとなった敵方の人間爆弾作戦、戦いの意味に悩み無力感と孤立に苛まれる主人公たちと、従来の巨大ロボットものにはないリアルな視点が導入され、宇宙に舞台を移してからは親族が次々と我が身を犠牲にして散っていく非情のドラマ。そして敵から語られる戦いの真相の衝撃は富野監督の前作『海のトリトン』最終回の強烈な善悪逆転劇をさらに押し