『リバティーンズ』書評 2010/5-11 『リバティーンズ』2010/05 号 飯田泰之他『経済成長って何で必要なんだろう?』(光文社) 先日、朝日新聞がゼロ年代の五十冊を選ぶという企画を行ったが、そのセレクションに経済学系の本がまったく入っていないことが、一部では話題となった。 それはある意味で、日本の「知識人」と称される人々の中での優先順位を如実に示している。多くの知識人は経済=お金としか思っておらず、一方ではお金など卑しいとする文化貴族的な偏見、そして一方ではお金は資本主義の道具と考える左翼的な偏見にとらわれている。そして各種経済活動の現場に対し、劣等感と嫉妬のないまぜな感情を抱いて、それをバカにしたり貶めたりすることに卑しい喜びを見いだしている人が多い。多くの知識人は、内心は本気で士農工商という階級を信じていたりするのだ。 それは過去十年以上にわたる日本の不景気継続の、一つの理由