ほうぼうで評判なので、遅ればせながら読んでみた。うん、なるほど、これは問題提起の本としてよくできている。 小峰隆夫氏の『人口負荷社会』でカギとなるのは、「人口オーナス」という概念だ。オーナス(onus)は「重荷」という意味で、本書のタイトルもここから来ている。人口オーナスとは、人口のなかで働く人の割合が低下することが経済にマイナスの影響をおよぼすことだと著者は説く。経済が影響を受けるのは人口の総数ではなく、人口構成なのだ。 この概念を切り口に、著者は人口負荷社会が引き起こす問題点と対策を提示していく。ざっくりいえば、人口負荷社会とは勤労世代が過少になり、引退世代が過剰になることだ。労働力の減少は生産性の低下をもたらす。また、引退世代は貯蓄をとりくずして生活しがちなので、貯蓄の減少が投資不足につながってしまう。これらは長期の経済成長にマイナスの影響をあたえるだろう。社会保障の持続可能性もあや