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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/JD-1976 (29)

  • Cool It ! - 事務屋稼業

    ニッセイ基礎研究所の久我尚子氏のレポートが、方々で話題になっている。 アベノミクスで苦しむ氷河期世代〜内定率上昇・雇用者増の一方、30代は正規雇用者が減少。就職期が生む雇用環境の格差。 http://www.nli-research.co.jp/report/researchers_eye/2014/eye150210.html 記事のタイトルだけを見て反発したり、逆に喜んだりする人もいるかと思われる。しかし文は短いながらも、なかなかどうして興味深いものだ。 特に印象的な部分を引用させていただく。 第二次安倍政権発足直後と直近の雇用者数の増減を見ると、雇用者は100万人以上増えているが、増えているのは非正規雇用者であり、むしろ正規雇用者は減っている(図1)。年代別に見ると、25〜34歳以外では非正規雇用者の増加により雇用者全体は増加、あるいは横ばいだが、25〜34歳では非正規雇用者の増加

  • kmori58さんのご冥福をお祈り申し上げます - 事務屋稼業

    twitterにて、cloudyさんことkmori58さんの訃報に接しました。 病床にあっても常に批判精神とユーモアを忘れない姿勢に、陰ながら尊敬の念を抱いておりました。また、サブカルチャーから時事問題まで、該博な知識に裏打ちされた軽妙な語り口には、大いに楽しませていただいたものです。ときに私の何気ないつぶやきにも反応してくださったり、当方から教えを乞うたりしたことなどは、良い思い出です。 謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

  • クルーグマンの信念―『さっさと不況を終わらせろ』 - 事務屋稼業

    言わずと知れたポール・クルーグマンの新刊である。 主張はいたってシンプルなものだ。いわく、不況のときに緊縮財政するな。政府は財政赤字なんか気にせずに拡張的な雇用創出政策をやれ。中央銀行はそれを支援しろ――これだけ。 で、この主張を補強するために、金融危機の前史から経緯をふりかえり、アメリカ、ユーロ圏、イギリスなどの現状を概観し、流動性の罠に関する不況の経済学をわかりやすく解説し、清算主義を批判する。とりわけ不況を「道徳劇」として見る発想をくりかえし批判している。 おおよその内容は「道草」で翻訳されているコラムとかぶるものが多いので、ぶっちゃけ新味のある話はない。しかし、こうしてまとまったかたちで読めるのはよいことだろう。とくに私のような紙のフェチには、じつにじつにありがたい。 どうでもいいことだけれども、一部で議論を呼びそうだなと思ったのは、次のくだり(p.143)。 フリードマンの取っ

  • 虚無と向き合うために―『大災害の経済学』 - 事務屋稼業

    まずは「おわりに」と題されたあとがきをみてみよう。最後のほうに、こうある。かつてアルフレッド・マーシャルは、ケンブリッジ大学の経済学部では「冷静な頭脳と温かい心を持った」人材を育てたいと語った。世界大恐慌からアメリカを救おうとしたフランクリン・ルーズベルト大統領は、こう演説した。  政府は過ちを犯すことがあり、大統領も間違うことがあります。しかし、かの不滅のダンテによれば、神の裁きにおいて、冷血の罪と温かい心の罪は異なる秤にかけられるといいます。無関心の氷に閉ざされた政府の絶えざる無視よりも、慈善の精神に生きる政府が時折犯す過ちのほうがまだよいではありませんか。 そして『大災害の経済学』は、1995年の阪神・淡路大震災における復興計画に、ひとりの経済学者として携わった林敏彦氏が、「冷血の罪」だけは犯したくないという決意のもとにつづった一巻である。経済学の知識はほとんど必要ない。文章は明瞭で

  • 経済はアイデンティティで理解しろ!―『アイデンティティ経済学』 - 事務屋稼業

    『アニマルスピリット』に引きつづき、既存の経済理論に喧嘩をふっかけるアカロフの新刊。今回は「アイデンティティ」に的をしぼって新しい枠組みを構築せんと奮闘している。『アニマルスピルット』で解説した「物語」に関連するものだ。 著者のアカロフ=クラントンいわく、これまでの経済学では、人は個人的な嗜好にもとづく「効用」を最大化するものと仮定されてきた。だが、それでは説明のつかないことが多い。なんで軍隊は新入隊員に厳しい儀式を押しつけるの? 学生は経済的な便益と費用だけで学校選択を考えるって当? 職業によって性別がかたよるのはなぜ? 黒人差別はどうすれば解消できるの?――などなど。 これらの問題については、経済学者たちも考えてきた。そして金銭的インセンティブにとどまらない誘引を研究し、モデル化するという流れが生じた。 アカロフらはそうしたこころみに敬意を表しつつ、ここに「アイデンティティ」なるパー

  • 最近読んだ本 - 事務屋稼業

    そういえば今月はブログ更新してないな、と気がついた。というわけで、ここ数ヶ月間に読んだの感想を手短に。なお、あくまでエントリの流れを重視して書いているので、読了順ではありません。 まずは小島寛之氏の2冊。 小島氏によれば、二部作のような関係にあたるそうな。実際、あつかっている題材も共通するものが少なくない。 『景気を読みとく数学入門』はタイトルにやや偽りあり。むしろ「数学で読み解く経済入門」といった感じ。簡単な数式を用いて、ゲーム理論の初歩的な解説から、ファイナンス理論、そして小野理論などを縦横に論じる。バブルとは物理学における「相転移」のような現象なのではないか、という指摘が興味深い。 逆に『数学的思考の技術』では数式を使わず、論理的な思考によって経済、社会、そして村上春樹の文学(!)にメスを入れる。ド文系の小生にはこちらのほうがなじみやすかった。 宇沢弘文氏の「社会的共通資」を紹介

    最近読んだ本 - 事務屋稼業
  • フリードマンの影―『ポスト・マネタリズムの金融政策』 - 事務屋稼業

    かの「マネーサプライ論争」で有名な翁邦雄氏の新刊である。 書名から連想されるとおり、おもに「フリードマン以後」の金融政策について語ったもの。影の主役ともいうべき人物は、ポール・クルーグマンと白川方明総裁だ。両氏の見解はところどころで引用されており、書の底流をかたちづくっているように小生には思われる。 書において著者は、中央銀行による金融政策の枠組みが時代とともに変遷をかさねてきた歴史をふりかえる。 ミルトン・フリードマンのマネタリズムが一世を風靡した1970年代。ポール・ボルカーがマネタリズムをかかげてインフレ退治に成功した――かのようにみえた――にもかかわらず、グリーンスパンの時代にはなぜその輝きが見る見るうちに失われていったのか。一方、日銀行はマネタリズムを採用したのか。 そしてマネタリズム凋落の後、台頭してきた「柔軟なインフレ目標」とテイラー・ルール。これらの枠組みにもとづいて

    prisoneronthewater
    prisoneronthewater 2011/06/23
    乙です。
  • 成長基盤を強化するって、どうすれば―『中央銀行は闘う』より - 事務屋稼業

    日銀 融資促進で新制度検討へ6月11日 6時50分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110611/t10013459101000.html日銀は、来週開く金融政策決定会合で、東日大震災の復旧復興や経済成長を後押しするため、担保となるような不動産がなく融資を受けにくい企業にも資金が行き渡るような新たな制度の導入を検討する方針です。日銀は、今月13日から2日間、金融政策決定会合を開き、震災の復旧復興を進め、経済を回復軌道に乗せていくため、金融面からの支援策について意見を交わします。この中では、去年から実施している環境や福祉、エネルギーといった成長分野に極めて低い金利で資金を貸し出す取り組みを拡充する方向で議論することにしています。具体的には、担保となるような不動産がなく、融資を受けにくい中小企業などにも資金が十分に行き渡るよう企業の手元にある商品の在庫などを

    prisoneronthewater
    prisoneronthewater 2011/06/15
    竹森先生の提案でええやん。
  • 速度制限論について - 事務屋稼業

    prisoneronthewater
    prisoneronthewater 2011/06/02
    当局に潜在産出水準を過小評価するバイアスがある以上、速度制限論は危険だな。
  • ファウンデーションまで何マイル? - 事務屋稼業

    himaginaryさんのエントリ「ベーコンを待ちながら」がちょっとおもしろかったので、インスパイヤされてみる。今回は引用ばかりで恐縮の極み、と最初にあやまっておこう。 さて、エントリではRBCモデルやDSGEモデルが痛烈にdisられているわけだが、この種の批判でもっとも印象深いのは、アカロフ=シラー『アニマルスピリット』だった。以下、同書の注p.25より引用する。 最近のマクロ経済学的思考をずっと支配している別のアプローチは、Kydlland and Prescott(1982)の伝統に連なる動学的確率的一般均衡モデル(DSGEモデル)だ。これらは重要な洞察に基づいてはいるが、現在のかたちでは、あらゆる人間行動が期間をまたがる効用を最適化するという仮定に依存している。このモデルは金融政策のショックや生産性のショックなどを反映できるが、アニマルスピリットは取り入れられない。最近の論文でV.

    ファウンデーションまで何マイル? - 事務屋稼業
    prisoneronthewater
    prisoneronthewater 2011/05/04
    乙です。
  • 世界通貨はどこへ行く―『通貨で読み解く世界経済』 - 事務屋稼業

    ルービニおもしろそうだけど、うーん、ちょっとねー、それに高いしー、という人には、小林正宏・中林伸一両氏の『通貨で読み解く世界経済 ドル、ユーロ、人民元、そして円』はどうだろう。新書だからお安い。しかし内容は決してお安くない。 歴史を紐解きながら、「通貨」「実体経済」「財政金融政策」のトライアングルを分析。「通貨」という基軸をしっかり立てていることによって、ルービニに比べると全体の論理構成がみえやすくなっている。データや図表も豊富。こまかい論点にも目配りがきいていて、著者たちも頭のよさがうかがえる。日人が書いたものだから日に関する記述も多いし、ルービニほど悲観的ではないし毒舌でもないので、万人向けといってよいだろう。 個別の通貨については、詳細は直接書にあたっていただくとして、ここでは日の実体経済と財政金融政策についてサワリをご紹介しよう。 著者らは日経済の重要課題として、財

    世界通貨はどこへ行く―『通貨で読み解く世界経済』 - 事務屋稼業
  • Mr.Doomの危機経済学―『大いなる不安定』 - 事務屋稼業

  • 注目のDSGE本―『動学的一般均衡モデルによる財政政策の分析』 - 事務屋稼業

    Twitterで感想をつぶやいていたら、想定外に長くなってしまった。せっかくなので一部修正の上、こちらに転載いたします。 『動学的一般均衡モデルによる財政政策の分析』は、Twitterにて話題沸騰の書だった。すくなくとも私のTLではベストセラーでありました。小生、超ド級のヘタレ文系であって「DSGE? 何それえるの?」レベルではあるが、わず嫌いしててもしょうがないし、小林正和氏の強力なプッシュに押されたので、恐る恐る読んでみることにした。以下、頓珍漢なことを言っていたら、識者の方はあたたかいツッコミをお願いいたします。 まず「序文」で、90年代の財政政策は効果がなくて財政赤字がふくらんだだけ、という不信感が広くあること、財政政策の効果はケインジアンと新古典派で評価が割れることを指摘。これをDSGEモデルで実証分析するのが書の狙いだ。と同時に、DSGEによるシミュレーションの入門書にも

  • 岩田教授の経済入門―『経済学的思考のすすめ』 - 事務屋稼業

    経済学の専門家ではない人の「シロウト経済学」を俎上にのせて、正統派経済学の考えかたとはこういうものだと教授する書。シロウト経済学の代表として槍玉にあがっているのは、辛坊治郎・辛坊正記『日経済の真実―ある日、この国は破産します』だ。 辛坊への批判は徹底していて、GDP計算における初歩的なミスをたしなめたり、辛坊両氏が「国家破産」の危機をうったえる一方で国家の課税権を無視していることを指摘したり、などなど、まあ遠慮会釈もなく叩きつぶしている。ぶっちゃけ岩田規久男氏ほどの経済学者にしては大人げないな、と思わぬでもないけれども、よっぽど辛抱たまらなかったのでしょうね。 もちろん、プロの経済学者がシロウトを叩いて悦に入る――そして、読者は「トンデモ叩き」に快哉を叫ぶ――というような不届きなではない。いや、そういう楽しみかたもできるかもしれないが、それで終わってしまっては、目糞鼻糞を笑うのたぐ

    岩田教授の経済入門―『経済学的思考のすすめ』 - 事務屋稼業
    prisoneronthewater
    prisoneronthewater 2011/01/29
    世にトンデモの種は尽きないから、助かりますね。
  • 使える?経済学―『不況のメカニズム』 - 事務屋稼業

    小野善康氏の『不況のメカニズム ケインズ『一般理論』から新たな「不況動学」へ』を読んだ。菅直人首相のブレーンとか言われていた時分はまるで指が動かなかったのだけれども、流行りが廃れたら読みたくなったのだ。ただの天邪鬼である。 小野氏の著作を読むのは初めてだし、いわゆる「小野理論」についてはネットのあちこちで見聞した程度のことしか知らない。だから、以下は一素人の素朴な感想文にすぎないことをあらかじめおことわりしておく(いつだってそうなんですけどね)。 さて、小野氏の議論のキモを乱暴に要約すると、「非自発的失業が存在するのは資源の無駄だから、公共投資で失業者を雇って経済全体の効率を上げろ」ということになる。また、需給ギャップと失業率、失業率とインフレ率とのあいだにそれぞれ関係があることを踏まえれば、失業率を下げることでデフレを緩和させることができる、というわけだ。 ここでデフレ脱却ではなく、あ

    使える?経済学―『不況のメカニズム』 - 事務屋稼業
    prisoneronthewater
    prisoneronthewater 2011/01/12
    なるほど、実はケインジアンじゃなくてピグーヴィアンと言われる所以か。
  • 過激な反自由市場主義―『世界経済を破綻させる23の嘘』 - 事務屋稼業

    いい釣りっぷりのタイトルに釣られて購入。スティグリッツがほめているだけあって、なるほど中身もスティグリッツ的な感じだ。 著者ハジュン・チャンは韓国出身の経済学者で、現在はケンブリッジ大学で准教授として開発経済学を教えているそうな。2005年にはレオンチェフ賞を41歳という史上最年少で受賞している。邦訳のある著書としては、『はしごを外せ―蹴落とされる発展途上国』がある。 著者の立場をひとことでまとめてしまえば、「反自由市場主義」である。とくに厳しく指弾するのは、IMFや世銀――ひいては、それらの機関を事実上掌握している先進諸国――が発展途上国に押しつけてきた構造改革、市場の自由化だ(ほら、スティグリッツ的でしょ)。 自由市場主義は、その喧伝者が言うほどには経済成長を促進なんかしない! むしろ経済構造や雇用を不安定にし、金融危機の発生する確率を高めてしまったじゃないか! 先進国の脱工業化なんて

    過激な反自由市場主義―『世界経済を破綻させる23の嘘』 - 事務屋稼業
    prisoneronthewater
    prisoneronthewater 2011/01/11
    これはなかなか面白そう。ここにも超過激リフレ派が一人w
  • 今年読んだ本+α - 事務屋稼業

    早いもので、今年ももうすぐ終わりですね。2010年は個人的にとんでもなくひどい年であって、こんな一年はもう金輪際ごめんなのですが、そうもいかないのが人生というものです。Life goes onってな感じでしょうか。 私的にはクソったれな一年間ではありましたが、読書体験という点では実り多き年でした。ここでは、とくにおもしろかったもの、印象深かったものを思いつくままにまとめてみたいと思います。エントリの流れの都合上、昨年以前に読んだも混じってくるかもしれませんが、どうかご容赦のほどを。 なお、あらかじめおことわりしておきますと、ここで取り上げたについては、その内容すべてに私が賛同しているわけではありません。いちいち言うまでもないこととは思われますが、誤解をまねくといけないので、念のため。 というわけで、まずはこれ。 ●片岡剛士『日の「失われた20年」』 理論と実証研究の両輪でもって、バブ

    今年読んだ本+α - 事務屋稼業
  • デフレカルチャーと心の消費―『AKB48の経済学』 - 事務屋稼業

    何年か前、教育TVの「からだであそぼ」で、「ほねほねワルツ」なるダンスを「ほね組fromAKB48」という面妖なユニットが歌って踊っていたのが、やけに印象的だった。なんだこりゃ、と私は首をひねった。気になったので調べたら、AKB48というのがあの秋元康プロデュースのアイドルグループだと判明した。 へえ、と思い、まあどうでもいいや、と思って、AKB48のことはそれきり忘れてしまった。それから数年たって、ふと気づいたら、いつのまにかAKB48をテレビで見かけない日はない、という事態になっていた。「ほねほねワルツ」を踊っていた私の娘は、いつしか「会いたかったー、会いたかったー」と歌うようになっていた。なんだこりゃ、と私はふたたび首をひねることになった。 田中秀臣氏の『AKB48の経済学』を読んで、私のひねった首はまっすぐに戻った。なるほど、そういうことだったのか、と腑に落ちた。 内容については帯

    デフレカルチャーと心の消費―『AKB48の経済学』 - 事務屋稼業
  • 不確実性との闘い―『資本主義は嫌いですか』 - 事務屋稼業

    今後、経済論戦の主戦場は「バブル」の評価をめぐるものになるのではないか。そんな漠然とした予感があった。そこで一部では「バブルの教科書」とも賞賛される、竹森俊平氏の『資主義は嫌いですか』を読んでみた。 なるほど、たしかにおもしろい。『1997年―世界を変えた金融危機』から書を経て、最新刊『中央銀行は闘う』へと至る流れを概観すると、竹森氏の経済思想が垣間見える気がする。思想というのがおおげさなら、問題意識と言いかえても結構。では、問題意識とはなにか。経済は「不確実性」をどうあつかうべきかというものだ。 フランク・ナイトによれば、発生する確率が予想できる危険を「リスク」といい、予想できない危険を「不確実性」という。企業家は「不確実性」に挑戦することによってのみ、「利潤」を得ることができる。「リスク」だけを相手に市場で競争しているだけでは、いづれ収入の期待値は生産費の期待値にまで下がり、「利潤

    不確実性との闘い―『資本主義は嫌いですか』 - 事務屋稼業
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    prisoneronthewater 2010/10/22
    漠然と思ったことを綺麗にまとめて下さって、感謝。
  • 今そこにある危機―『人口負荷社会』 - 事務屋稼業

    ほうぼうで評判なので、遅ればせながら読んでみた。うん、なるほど、これは問題提起のとしてよくできている。 小峰隆夫氏の『人口負荷社会』でカギとなるのは、「人口オーナス」という概念だ。オーナス(onus)は「重荷」という意味で、書のタイトルもここから来ている。人口オーナスとは、人口のなかで働く人の割合が低下することが経済にマイナスの影響をおよぼすことだと著者は説く。経済が影響を受けるのは人口の総数ではなく、人口構成なのだ。 この概念を切り口に、著者は人口負荷社会が引き起こす問題点と対策を提示していく。ざっくりいえば、人口負荷社会とは勤労世代が過少になり、引退世代が過剰になることだ。労働力の減少は生産性の低下をもたらす。また、引退世代は貯蓄をとりくずして生活しがちなので、貯蓄の減少が投資不足につながってしまう。これらは長期の経済成長にマイナスの影響をあたえるだろう。社会保障の持続可能性もあや

    今そこにある危機―『人口負荷社会』 - 事務屋稼業
    prisoneronthewater
    prisoneronthewater 2010/09/02
    労働時間を短くするのは生産性の低下ではなく、単に労働投入の減少では?