そのアパートに着いたのは、午後5時半だった。 紀子さん(仮名)は、洗濯物を取り込んでいた。 ちょうど仕事から帰ってきたところなのだろう。 小さな玄関で出迎えてくれた紀子さんは、Tシャツに短パンという部屋着に着替えていた。 食材や台所用品が詰められた段ボール箱を持ち、米山さんに続いて部屋に入る。 6畳のリビングと4畳半の寝室、それに6畳程度のキッチンがついた2DK。モノがないので、広く感じる。 真新しい冷蔵庫の脇に段ボールを置く。 リビングのソファの上では、アツシ君(仮名)が膝を折りたたんで座り、ゲーム機をいじっている。 挨拶すると、ちらりとこちらを見るが、返事はない。緊張している様子だ。 紀子さん。時間給×フルタイムという働き方をしている小1生の体重を支える食料支援紀子さんは31歳。 小学校1年生のアツシ君と2人暮らしの母子家庭。 私はそこに、フードバンク山梨・理事長の米山けい子さん、スタ