中国も日本と同様、ネット通販の影響を受け、リアルの書店は苦境が続いている。しかしその中にあって、2014年ごろを境に、ユニークな品揃えや独特な店舗形態を持つ新型書店が次々と登場、人気を集めている。メディアでは「書店ブーム到来」といった声もある。 なぜいま書店が注目されるのか。その背後には中国社会のさまざまな変化がある。今回は街の書店を切り口に、その動きの背景を考えてみたい。 7月16日、中国内陸部、安徽省の省都・合肥市に「世界初」と銘打った大型の「シェア書店」(中国語で「共享書店」)がオープンした。設立したのは国有企業の安徽新華発行グループ。中国最大の国有書店チェーン「新華書店」傘下の企業である。かつて国内の書籍流通をほぼ独占していた保守的な国有企業の大胆な試みに市民は驚いた。 「シェア書店」の仕組みはこんなふうだ。まずスマートフォン(以下スマホ)で専用アプリケーション「智慧書房」をダウン