「ロシアを悪者にすることは簡単」という河瀨直美さんは「公平」なのか 北丸雄二 ジャーナリスト、コラムニスト 反ロシア感情が西側社会に渦巻いている。ロシア映画はトロントやグラスゴーなどの映画祭から締め出され、タルコフスキーの傑作『惑星ソラリス』も著名映画サイトのトップ250映画リストから消えた。イタリアの大学ではドストエフスキーの講座が一時取り下げられる騒ぎになり、オペラやコンサートからはロシアの音楽家や楽曲が次々とキャンセルになった。国際サッカー連盟公認のビデオゲームもロシアチームを排除し、ニューヨークではアメリカ人経営の「ザ・ロシアン・ティー・ルーム」という名の老舗レストランが苦境に陥って、恵比寿の駅ではロシア語の案内表示が隠された──だからそんな狂騒の中で「坊主」と「袈裟」とを一緒くたにして「憎む」のは笑い話にしかならないと言挙げするのはとても大切だ。 けれど、もう一つ、ここでも(お