2017年夏、富山を代表する総合機器メーカー「不二越」が、本社を富山から東京に移転することを発表した。その会見の際に同社会長が、東京に移転する理由として「優秀な人材の発掘」を挙げ、「富山県は閉鎖的」「富山県民は極力採用しない」と県民の髪が逆立つ発言をしたことで、全国規模のニュースとなった。 不二越は祖父が勤めていた会社だった。戦後復興から、グローバル企業へと不二越が躍進した「ベアリング」開発に携わったのが祖父だった。かたや天皇陛下から勲章までもらった祖父が独立して興した工場を、ゆっくりと、確かな歩みで傾かせたのが父だ。 不二越は1928年の創業以来、90年間にわたって富山の地場産業を支え、病院や工業高校を作って地域に貢献してきた。駅名や町名にまでその名が冠されるほど地域密着型だった企業のトップが、「富山なんて大嫌い!」と言い放ったことは、県民に大きな衝撃を与えた。就職差別ともいえる問題発言
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