「少女たちがいる軍隊」――。 それがアニメ「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」の舞台だ。戦争でそれまでの国はくずれさり、少女たちは焦土に生きている。だが、そこにはいわゆる終末的な悲壮感は描かれていない。代わりに描かれているのは、彼女たちが育んでいく友情や街の人々との交流といった、ほのぼのとした日常だ。 「終末的な状況」と「ほのぼのした日常」。このアニメには、きわめて両極端に思えるこの2つの感情が同居している。そのふしぎな感情が生まれたのは一体なぜなのか。その謎を解きあかすべく監督の神戸守氏に話を聞いてみたところ、実感、そして継承という、2つのキーワードが見えてきた。インタビュー前編では「実感」の側面を伝えたい。 ■ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 長く続いた戦争により、文明が後退し、人が住める土地も限られた世界。15歳の少女・カナタは、幼少時にトランペットを吹く女性兵士と出会ったことをきっかけに、喇叭手(ラッパ吹き)