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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (11)

  • 頭がおかしくなるほどおもしろかった──《アイアマンガー》三部作 - 基本読書

    堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1) 作者: エドワード・ケアリー,古屋美登里出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2016/09/30メディア: 単行この商品を含むブログ (17件) を見るエドワード・ケアリー《アイアマンガー》三部作が先日発売の『肺都』によって完結したが、これが当に凄い物語だった。奇しくも『肺都』が昨年最後に読了したとなったけれども、そんなことは無関係に問答無用で『肺都』が17年のベストだ。それどころか《アイアマンガー三部作》は、人生においてこれ程の熱量の物語にあと何度出会えるのだろうか……と考え込まずにはいられない、破壊的な小説作品なのだ。 人間を突き動かさずにはいられない特異なリズムがこの物語全体を貫いている。劇作家でもある著者による台詞、会話劇は一つ一つの発言が声の大きさ、息の吐く音まで聞こえてきそうな(凄まじい翻訳の力もあるの

    頭がおかしくなるほどおもしろかった──《アイアマンガー》三部作 - 基本読書
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    pub99 2018/01/02
  • 最近イチオシの海外ファンタジィ──『風の名前』 - 基本読書

    風の名前 1 (キングキラー・クロニクル第1部) 作者: パトリックロスファス,中田春彌,山形浩生,渡辺佐智江,守岡桜出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/03/22メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る書『風の名前』は、キングキラー・クロニクルと名付けられた現代ファンタジィ三部作の第一部になる。もともと日では2008年に白夜書房から三部作で出ており、書はそれを五冊に分冊したものだ。なんでもシリーズ、映画が制作が進行している上に、オリジナルプロットとなるTVシリーズ版も同時に制作しているとか。 国では2011年に第二部が出て、2017年に第三部が出るとか出ないとかいう話で、再刊行するにはちょうどいいタイミングだったのだろう。個人的に、日のファンタジィが量もあるし質も高いしで、海外ファンタジィには乗り切れないことも多いんだけど*1、書はきちんとその個性

    最近イチオシの海外ファンタジィ──『風の名前』 - 基本読書
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    pub99 2017/07/22
    “お前は音楽小説を早急に書くべきだといいたくなるぐらいに描写がうまい”
  • 無数の時間線が交錯する時の劇場──『デューン 砂の惑星』 - 基本読書

    デューン 砂の惑星〔新訳版〕 (上) (ハヤカワ文庫SF) 作者: フランクハーバート,酒井昭伸出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/01/22メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る現在SFマガジンで海外SFブックガイドの連載を担当している身としては非常に言いづらいことに、超有名作『デューン 砂の惑星』を読んだことがなかったのだが、今回ハヤカワ文庫補完計画の一環として新訳で蘇り狂喜して読んだのであった。 読む前は作品内容について何も知らなかったが、長年「ローカス」で行われているほぼ12年ごとに行われる読者のオールタイム・ベスト投票で1位を取り続けている事(1975年〜2012年まで不動)などから時代に左右されない傑作なのだろうとの期待はあった。実際1965年刊行でありながら作は今読んでも古びておらず、今後数十年の時の経過に余裕で耐えられるだろう奥行きと強度を感じ

    無数の時間線が交錯する時の劇場──『デューン 砂の惑星』 - 基本読書
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    pub99 2016/03/19
  • 躯体上の翼 by 結城充考 - 基本読書

    タイトルに、表紙のかっこよさがあいまって読んでみたのだがこれはまたとんでもねえ作品だなあというのが一読しての第一印象。今まで味わったことがない感覚を湧き起こさせる特殊な造語、言葉選びの数々にストーリーを把握するために描写を読んでいるのだか、描写そのものを楽しむために読んでいるのだかだんだんわからなくなってくる。 用語、語句の使い方、描写の並べ方が独特で、理解がなかなか追いつかない。するすると頭に入ってくる文章ではないのだ。その為一度読んだ後すぐに二度目を読み始めた。帯には『黄昏ゆく世界を硬質な抒情で描くSF』とあるが、たしかにこれは硬質な抒情と表現するのがしっくりくる文体だ。 緩やかに衰退する“共和国”の生体兵器として造られ数百年にわたり、戦いと孤独を生き抜いた少女。彼女は、初めて“誰か”の為に願った―緑化政策船団211隻、すべて、私が墜とす。黄昏ゆく世界を硬質な抒情で描くSF

    躯体上の翼 by 結城充考 - 基本読書
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    pub99 2013/12/02
  • RDG レッドデータガール - 基本読書

    意外なことにアニメ化もされて今絶賛放映中の作。著者は樹上のゆりかごや西の善き魔女などで知られる荻原規子さん。この方の書かれる小説は、決して派手ではないものの誰もが持っているさまざまな思春期前後における葛藤の描写が丁寧で、とても楽しい。作は一応六巻で完結しているので、よくあるライトノベルみたいにだらだらと話が終わらずに続いていくということもない。当に、スパっと気持ちよく終わってくれるので、そうした意味でもオススメだ。 物語は引っ込み思案だけど、実はすごい力を持っているという女の子の元に、イケメンでなんでも上手にこなし、勉強だってよくできちゃう幼馴染が送り込まれてきて──という少女漫画的な導入から始まる。 世界遺産に認定された熊野古道、玉倉山にある玉倉神社。そこに住む泉水子は中学三年まで、麓の中学と家の往復だけの生活を送ってきた。しかし、高校進学は、幼なじみの深行とともに東京の鳳城学園へ

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    pub99 2013/04/21
    "「普通にどうしたってなれない自分」を受け入れていくまでの物語"
  • 読書会について - 基本読書

    読書会について書いていきます。長いですが下の方に結論だけまとめたものがあるので読めない場合、読み飛ばしてください。 僕は結構読書会をやってきた。大学生のときは先生と協力して読書会の授業を作って、毎週読書会を十何人でやったこともある。ネットで知り合った知人と読書会もやってきているし、スカイプ読書会も僕が企画したわけではないのだが何度か参加したことがあるし、スカイプジャンプ読書会というものを自分でやったりもした。自分で主催した数の方が多いが、主催側に立っているといろいろとできることできないこと、問題点などが明るみに出てくるものだ。 就職してからはすっかり読書会に自分から参加も企画もすることもなくなってしまったのだが、思えばもっと一回一回分析して「読書会」としてどこがまずくてどうすれば読書会は面白くなるのかといった経験を蓄積させていくべきだったかもしれないと今は考えている。なにしろ「面白い読書

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    pub99 2012/09/24
  • 清涼院流水ファンにオススメするダンガンロンパサーガ - 基本読書

    ダンガンロンパというのは、2010年に発売された1と、今年の7月26日に発売された2を合わせたPSP専用アドベンジャーゲームのことだ。1と2の前日譚であるダンガンロンパ・ゼロを合わせた3つの作品を、ここではダンガンロンパ・サーガと読んでいる。このシリーズのことで、つい昨日ゲームの2をクリアした勢いでこの文章を書いている。ついでにいうと、その後ハマってしまったのでダンガンロンパ・ゼロの小説まで買って読破してしまった。 とても面白い物語と、そしてゲームだった。僕はゲームをほとんどやらないのだが、ここ数年ではこいつだけはちゃんとクリアしている。物語性に強く引き込まれるところもあるが、ゲームシステムと物語の親和性という意味でダンガンロンパはとても完成度が高い(もっとも、ミニゲームの部分はすごく微妙なんだけど) ダンガンロンパサーガとわざわざ記事のタイトルにつけたのは、これらのシリーズがひとつひとつ

    清涼院流水ファンにオススメするダンガンロンパサーガ - 基本読書
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    pub99 2012/08/17
  • 神林長平「ぼくらは都市を愛していた」刊行記念トークイベントに行ってきたよ(レポ) - 基本読書

    神林長平先生のトークイベントに行って来ました。先生はどうも自作について語ったりするのがあまり好きではないようで、こういう機会は希少なので絶対に逃せません。前回は確か2009年だったかな? 30周年記念トークイベントにも行ってきた僕でした。今回も行ってきた! 都市に住んでいて良かった! そして熱かった!! 神林先生の創作への熱意、クリエイターとしての圧倒的自負!! 神林長平こそが真のクリエイターだよぉ!!(燃えた) 今回のイベント、神林先生の他にも大森望さん、それからアーヴァンギャルドの松永天馬さんの三人が主に話す感じ(急に戻った)。僕は前者二人は知っていたのですが、松永天馬さんという方はまったく知らなかったので「うまく話が展開しないんじゃないか……」と勝手に不安に思っていたのですが、杞憂でしたね。なんだかとっても芯のある感じで、一人のクリエイターとして自身の意見をおっしゃられていました。

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    pub99 2012/07/09
  • 銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎 - 基本読書

    ハードカバーで出た時に結構な評価を受けていたこの『銃・病原菌・鉄』だけど、文庫になったので読んでみた。「なぜ?」という問いは最初は何気ない問いで、すぐに答えられそうなものあっても深く問い続けていくと誰も知らない領域にまで踏み込んでいくものだ。書も最初の「なぜ?」は至極単純なものである。 著者のジャレド・ダイアモンドが熱帯のニューギニアの海岸を歩いていた時に、その地方では有名な一人の好奇心旺盛な政治家と出会った。その政治家の名前はヤリといい彼はいくつも質問をしたそうだが、その中にこんなものがあった。 『あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?』これは非常に単純な質問だが答えるのが難しい。書ではこの質問に答えるために文庫で800ページもの紙面をつくしている。 この質問は次

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    pub99 2012/02/14
  • 戦闘破壊学園ダンゲロス - 基本読書

    久しぶりに寝る間も惜しんで読んでしまった。「こういう作品を待っていたんだ!」と読み終えた時は感動もひとしおでした。というか実際に時間的にも待っていたんですけどね。著者は『完全教祖マニュアル』や『よいこの君主論』の架神恭介さんで、彼のHPThe 男爵ディーノ[週刊少年ジャンプ感想サイト]を毎回よく見ていたので、このが出ることももう一年ぐらい前かな? それぐらいから知っていたのでした。 あらすじ(カバー裏) 「魔人と呼ばれる異能力者たちが存在する、とある世界。私立希望崎学園・通称戦闘破壊学園ダンゲロスでは、対立する2つのグル−プの抗争が激化していた。邪賢王ヒロシマ率いる、暴力で学園を支配する「番長グループ」。ド正義卓也を擁する、魔人校則の遵守により治安を保つ「生徒会」。ハルマゲドン勃発の日、一般生徒の両性院男女は幼馴染の保護と引き換えに番長グループに協力することになる。生き残りを賭けた抗争は

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    pub99 2011/02/03
    "以降この本を読んでないと能力バトルは語れないよねーケタケタケタケタっていうぐらいの傑作"
  • 「大森望のSF漫談」番外編  「伊藤計劃Project Goes on...」に行ってきたよ - 基本読書

    簡易レポです。翻訳者だったり書評だったりと幅の広い仕事をしている大森望氏と、元SFマガジン編集長の塩澤快浩氏の二人が伊藤計劃について語る、という内容。一時間程度のモノでしたが、円城塔氏が周りをうろうろしていたり、篠房六郎氏が現れたりと面子的に凄く豪華でした。まあ円城塔氏は結局最後まで周りをうろうろ徘徊していただけで、ほとんど喋っていなかったんですがね! まるで打ち上げに参加する為だけに来たかのような徘徊っぷりでした。 伊藤計劃氏がどうやってデビューに至ったか、各人から見た人柄、印象であったり、生前のエピソードが主に語られていました。どうやってデビューに至ったかは、もうかなり色々な場所で語られていますけれど、小松左京賞に応募→円城塔と一緒に最終選考にまで残るも、落選→円城塔は即座に塩澤快浩氏に送り、伊藤計劃も送ったらどうだと声をかける。→目に止まり出版。という流れです。 塩澤快浩氏に送る過程

    「大森望のSF漫談」番外編  「伊藤計劃Project Goes on...」に行ってきたよ - 基本読書
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    pub99 2010/03/27
    「ハーモニーのキャラクターのモデルはみんな看護婦さん」
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