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ブックマーク / tsukimori.hatenadiary.org (1)

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    朝、住宅路をひどくゆっくりとした足取りで歩くひとりの男の子がいました。目をつむり、白い杖を地面にたどらせています。 彼の名は、広瀬尚己(ひろせなおき)。市内の高校に通う学生です。 尚己は、目が見えませんでした。 幼いころにわずらった特殊な病気の影響で、視力を完全に失くしてしまったのです。 その病気は、まるで台風のように突然訪れてきて、彼の身体を苛み、あっけらかんと過ぎ去ってみれば、彼の身体は全く元の通り健康に回復しました。ただ、目だけすっぽり抜き取られてしまったかのように、見ることができなくなっていたのでした。 家から学校までの道のりを尚己はほぼ完全に覚えていたので、戸惑うことなく歩いていきます。住宅路のT字路に差しかかると、ひとりの女の子が待っていました。 「おはよう」 彼女の名は藤倉さゆり(ふじくらさゆり)。尚己のクラスメイトで、学級委員でした。 クラスメイトはそれがさも当然であるかの

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    pub99 2012/09/08
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