「2010年問題」。そう呼ばれる激震が今年、大手製薬会社を襲っている。 「過去の成功体験を捨て、研究開発の生産性を上げない限り、当社の将来はない!」 5月12日。国内製薬トップの武田薬品工業東京本社で開かれた2010(平成22)年3月期決算説明会で、長谷川閑史(やすちか)社長は危機感をあらわにした。 武田の連結売上高は前期比4・7%減の1兆4659億円で19年ぶりに減収に転じた。原因の一つに「2010年問題」がある。 医薬品の特許期間は最長25年。失効すると他社も同じ構造の薬をジェネリック(後発医薬品)として安く販売できる。その結果、先発薬の収益が急激に落ち込む。米国では特許切れ後、先発薬の売り上げが9割以上減ることもざらだ。 大手各社の「ブロックバスター(超大型品)」の特許切れが2010年前後に集中しているため、「2010年問題」と言われる。 ■ ■ 武田薬品工業では米国で主力