近頃、河合隼雄さんの児童文学論である『ファンタジーを読む』を読んでいました。 ファンタジーを読む (岩波現代文庫 〈子どもとファンタジー〉コレクション 2) 河合 隼雄 河合 俊雄 岩波書店 2013-08-21 売り上げランキング : 265544 Amazonで詳しく見る by G-Tools そこには「人は追い詰められた境遇にあるとき異世界(ファンタジー)と遭遇することが多い。一度も異世界に触れたことのない人はそれはそれで不幸だろう」という主張があって、昔のファンタジー好きにとっては大いに励まされる言葉だったと思うのですが、今は「常時異世界に住むことができる」ような時代だったりして、異世界はありふれており、ありがたみもその数だけ稀釈されている。 現代のオタク的な人々がハマる異世界というものは、確かに癒しとなっている部分もあるはずで、しかし河合隼雄さんが考えるような「人間のたましいの深