「オリヴィエにも何度か取材させてもらってます」会話のとっかかりにと思わず口をついて出た言葉だが、ミア・ハンセン=ラブは、いやな顔とまでは言わなくとも、あまり反応しなかった気がする。そのオリヴィエというのは、今や『夏時間の庭』でフランス映画を支える監督アサイヤスのことだ。そんな彼のパートナーであることからすぐ引き合いに出されるのをあまり快く思わないのも分かる気がする。何しろ、出発点がアサイヤス映画の『8月の終わり、9月の初め』で女優デビューした後、『感傷的な運命』にも出演したのは確かだが、映画に目覚めた彼女は、その後カイエ・デュ・シネマで映画批評を展開するようになり、映画監督としては、『すべてが許される』に続く、2本目の長編であり、彼とは本質的にスタイルが違うのだから当然かもしれない。 そんな彼女が実力を示す2本目の正直となるのが『あの夏の子供たち』。いつも携帯電話が手放せない映画会社ムーン