モンゴルの首都ウランバートル市が「中国以上に深刻」(政府幹部)と評される大気汚染に見舞われている。大量に流入する地方出身者が暖房用に石炭や木材を燃やし、盆地の地形に排煙が沈殿するためだ。政府は汚染対策を最優先課題と位置付けて無煙ストーブの設置などを進めるとともに、日本にも改善への協力を求めている。 モンゴルの気象・環境調査庁によると、直径10マイクロメートル以下の粒子状物質「PM10」が1月に複数回、大気1立方メートル当たり2千マイクログラムを超え、世界保健機関(WHO)の環境基準(年平均20マイクログラム)の100倍以上となった。PM2.5や二酸化硫黄、二酸化窒素もWHOの基準を大きく上回っており「世界最悪」(政府関係者)という。 だが、人体への影響調査を始めたのは昨年からで、汚染観測も「不十分で正確な数値とはいえない」(日モンゴル関係筋)のが実情だ。(共同)