自民党の総裁選を前にして、中央省庁再々編が政治課題として浮上してきた。既に、2016年5月には自民党の若手議員による委員会が厚生労働省の分割を提言しているが、平成の終わりを迎える今、01年に行われた中央省庁の再編、特に、省庁統合について経済学の視点で再検討してみよう。 ◆◆◆ 政府組織を経済学的に分析するに当たっては、企業行動・組織を解明するための道具として過去半世紀にわたり発展してきた、契約理論、情報の非対称性理論、ゲーム理論がやはり有用である。 政府の行動・組織についても、たとえば、官僚を「依頼人」たる国民(および政治家)から社会的厚生を最大化させることを依頼された「代理人」と捉えることができる。つまり、政府・官僚が国民にとって望ましい行動をとるために彼らのインセンティブ(誘因)をいかに設計するかという視点である。 政府・官僚のインセンティブ問題は民間企業と比べるといくつかの特徴を指摘