地域医療において,複雑度の高い,対応の難しいいわゆる困難事例に対応することは,地域基盤型プライマリ・ケア担当総合診療医=家庭医としての重要な仕事です。 この何年かの間に様々な地域や集まりで,地域の難しいケースに関して,家庭医として相談にのることががありました。で,医師や医師グループの知識,技術,態度,価値観,慣習などにより事態が複雑になっているというパターンをかなり発見しました。いくつかの類型に分類し,これらを医師誘発性困難事例と密かに呼ぶようにしています。 医師誘発性困難事例のパターン 1.健康問題が複数で,つまり多疾患併存状態で,それぞれの疾患に対して担当医がいるポリドクターの状態。情報が散逸して,しかもだれが最終的にまとめ役になるのかがはっきりしない場合 2.現在の担当医が訪問診療を行っていないため,「通院することがリハビリになる」という謎の論理を主張し,在宅ケア移行を先延ばしている