十八歳の冬に自動車とぶつかって足を折り、手術を受けた。このとき、かねてより疑問に思っていたことを自分で調べ、幸か不幸か判らないが、自身の正体を知ることとなって頭がくらくらした。現代では男性の三百人に一人の割合で出現する、尿道下裂という先天的な異常が、自分の体にはあった。手術の際にカテーテルを入れると聞いて、二つある穴のどちらに入れるのかと悩んだのだが、保健の教科書にある断面図にはどう見ても一つしかなかった。胎児の段階で人は性的に分化していくが、どこかで迷いが生じたのか俺は男になりきれなかったらしい。機能的に何か不都合があるわけではなかった。但し統計的には、精巣癌などを発症する確率がいくらか高いらしい。そして今までに自分自身や周辺で起きていた異変を、あらためて思い知らされることになる。それは身体的なことに由来する異変でもあり、またはどこにでも起こりうる不幸でもあった。不幸というのは様々な意味