2020年1月10日、名城大学で40歳の准教授が、同大学3年生の学生に刺されるという事件が発生しました。報道によれば、学生はレポートの提出が遅れ、准教授に「単位は出さない」と言われたことから殺意を抱き、准教授を刺したとのことです。 本記事では、高等教育を守備範囲の一つとしている書き手の立場、また教歴も学生・院生歴もある立場から、この事件に関して注意したほうがよいポイントをメモ書きします。事件そのものについては、まだ分かっていることが極めて少ない段階です。しかし、「不測の事態に対し、大学や外野はどうすればよいか」を学び取るポイントは、既に数多く出現しています。 1.「教育が内包している暴力による事件」と言えなくはない 教育の仕事は、何らかの目的に沿って何かを教えたり学んだりしてもらい、その方向に導き、結果を評価することの繰り返しです。土台となっているのは、「学生が持っていない何かを教員が持っ