映画『時計じかけのオレンジ』の暴力的な主人公、アレックス役で世間に強烈な印象を残した俳優マルコム・マクダウェル。かつては若者の怒りを体現する存在だったが、今ではずいぶん穏やかな雰囲気になった。最新作の撮影裏話から、自身のキャリアや人生、そしてアカデミー賞まで、77歳の今だからこそ語れる本音のインタビューをお届けしよう。 「反抗的な役をずっと演じられるわけじゃないから」 70年代初頭、マルコム・マクダウェルは映画界の小生意気なプリンスだった。かつてリバプールのセールスマンだった彼は、社会の規範をかき乱す存在となった。 リンゼイ・アンダーソン監督の『If もしも…』では、イギリスのパブリックスクールで血の革命を先導する役を演じた。スタンリー・キューブリック監督の『時計じかけのオレンジ』では、コロヴァ・ミルク・バーで仲間とつるみ、夜の計画を思案する主人公のアレックス役だ。 彼の前には、無限の可能