ニューハンプシャー州での最初の大統領予備選を翌日に控えた2008年1月7日、ヒラリー・クリントンは同州支持者との対話集会に臨んでいた。民主党の指名候補争いで、ヒラリーはバラク・オバマに大きく水を開けられていた。 「女として思うんだけど、きちんと身支度をして外に出るのって大変でしょ。とても個人的な質問です。どうしてそんなことやってるの?」 参加者からそう問われたヒラリーは、「簡単じゃない」と二度繰り返し「自分が正しいんだって信じてなければとてもじゃないけどできないわ」と答えたあと、感極まったように目を潤ませながら「私たち(=アメリカという国)が凋落するのを見たくないの」と柔らかく憂国と希望を語った。 この集会の模様は全米に放映されると同時に、SNSなどにもアップロードされた。ヒラリーの涙に世論は批判的で「墓穴を掘った」という声が圧倒的だったが、フタを開けてみたら、予備選は彼女の逆転勝利だった