海上自衛隊の潜水艦を受注する川崎重工業(本社・神戸市)が潜水艦の乗組員らに対し、下請け業者との架空取引で捻出した裏金を使って物品供与や飲食代の負担などをしていた疑いが浮上している。同社、自衛隊とも実態調査を進めているが、「潜水艦業界」はそもそも、極めて独特な世界だという。 海上自衛隊が保有する潜水艦は、任務用22隻のほか、練習潜水艦2隻、試験潜水艦1隻の計25隻。潜水艦隊は司令部(神奈川県横須賀市)のほか、横須賀基地と呉基地(広島県呉市)を拠点とする。 海上自衛隊約4万5千人のうち、潜水艦隊は約2300人。その乗員は、閉鎖空間のストレス耐性などいくつもの適性検査を経て選ばれ、「ドルフィンバッジ」を胸につけるエリート集団だ。 多くの潜水艦乗員は、司令部、横須賀、呉の3拠点を中心とした転勤を繰り返す。「顔見知りが多く、濃くて狭い人間関係が築かれる世界」(潜水艦乗員)でもある。 潜水艦を造るメー