本村 最初にお話ししたとおり、現代人の多くが当たり前だと思っている近代的な価値観は、人類にとって決して普遍的なものではありません。実際、さまざまな宗教が、近代合理主義や啓蒙主義とは相容れない教義や習慣を失うことなく、現代も生き続けています。 佐藤さんがご指摘されたとおり、宗教をベースとしたロシアと西側諸国の「価値観戦争」も、キリスト教を抜きに理解することはできません。 だからこそ日本人もキリスト教や一神教について知る必要があるわけですが、そこでぜひ取り上げておきたい本があるんですよ。『イエスは仏教徒だった?~大いなる仮説とその検証』(エルマー・R・グルーバー、ホルガー・ケルステン/岩坂彰訳/同朋舎)です。 邦題がやや怪しげなので眉に唾つけて見る人もいるでしょうけれど、西洋と東洋の宗教的なつながりを考える上で非常に面白い本だと思います。 佐藤 ドイツ語の原題は『DERUR-JESUS』、英語