国際結婚の破綻などに伴い、「日本人のパートナーに子どもを連れ去られた」と訴える外国人が後を絶たない。日本は「連れ去り大国」だとして、欧米が親権や子どもとの面会をめぐる制度の見直しを日本に求めるなど外交問題に発展する一方で、国内ではDV(家庭内暴力)対策が先だという声も根強い。当事者の訴えを通じて見えてきた深刻な実情と、遅々として進まない議論の背景を探った。 (『中央公論』2022年12月号より抜粋) 海外メディアが一斉に報道「私の子どもたちは今日、父親とフランス市民権を失った。国際的な逮捕状が出ている人物に、日本の裁判所が親権を与えることに驚いた」 7月7日に東京都内で開かれた記者会見で、日本在住のフランス人男性はこう憤った。子ども2人を連れて別居した日本人の妻が、この男性に離婚などを求めた訴訟をめぐり、東京家裁がこの日、離婚を認め、子ども2人の親権者を妻とする判決を言い渡していた。 判決