米国における占領期日本の写真資料をどう捉えるのか: 現状・全体像・日本への還元における課題 早稲田大学社会科学総合学術院:佐藤洋一(さとうよういち) 本稿は、占領期(1945年から1952年)日本の都市空間を記録した写真を米国で調査収集してきた筆者の経験を通した知見を以下の4点から示すものである。 ①米国調査での様々な占領期の写真資料との出会い(1章) ②なぜ調査するのか(2章) 米国所在の写真資料を調査・収集する必要性 ③全体像をどう捉えるのか(3章) 占領期写真のタイプとバリエーション ④還元とはどういうことか(4章) どこになにをどのように戻せばいいのか 1. 米国調査での様々な占領期の写真資料との出会い 1990年代半ば、当時都市史を専攻する建築系の大学院生であった筆者は「占領期東京の都市空間の実態」を調査することを研究課題としていた。占領期の都市空間を特徴付けている占領軍の接収し