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分析美学の検索結果1 - 21 件 / 21件

  • 読書メモ:『なぜ美を気にかけるのか :感性的生活からの哲学入門』&『近代美学入門』 - 道徳的動物日記

    なぜ美を気にかけるのか: 感性的生活からの哲学入門 作者:ドミニク・マカイヴァー・ロペス,ベンス・ナナイ,ニック・リグル 勁草書房 Amazon 『なぜ美を気にかけるのか』は美学の入門書でもあるが、そのなかでも「美的価値」や「美的感性」「美的生活」の問題を扱っており、「優れた芸術の定義とは何か」といったトピックではなくタイトル通り「なぜ美を気にかけるのか」という問題……なぜわたしたちは服や髪型のお洒落さ/ダサさや食事の美味しさ/不味さを気にしたり、聴く音楽や視聴する動画について自分なりの選択を行おうとしたりしているか、といったトピックを扱っている。ここでいう「美」はかなり広い範囲の物事を指していること……「 "美"といえるのは素晴らしい芸術のみである」といったエリート主義を排して、どんな人でも日常的に様々なタイミングで様々な領域の「美」を気にかけている、というスタンスで各人が論じていること

      読書メモ:『なぜ美を気にかけるのか :感性的生活からの哲学入門』&『近代美学入門』 - 道徳的動物日記
    • 井奥陽子『近代美学入門』 - logical cypher scape2

      タイトル通り、近代の美学についての入門書なのだが、とても良い本だった。 「芸術」「芸術家」「美」「崇高」「ピクチャレスク」という概念ごとに章立てした5章構成の本となっているが、これらの概念は全て近代に成立した概念である。 「崇高」と「ピクチャレスク」はあまり一般的には馴染みのない言葉だろうが、「芸術」「芸術家」「美」といった、現在の我々にとってはわりとあって当たり前の概念が、歴史的にはそれほど古くない概念であることを示している。 常識だと思っていることを相対化して捉え直すことを目指していて、おおよそどの章も、古代ではどうだったか、近代でどのように成立していったのか、そして、現代的な論点についてどのように考えられるか、という構成をしている。 なので、確かに「近代の美学」についての本ではあるのだが、美学一般の入門書という位置づけで読んでしまってよいと思う。 新書レベルの読みやすさ・分かりやすさ

        井奥陽子『近代美学入門』 - logical cypher scape2
      • 山野弘樹『VTuberの哲学』(2024、春秋社)書評*機能についての不明点と研究態度へのコメント - Lichtung

        山野弘樹『VTuberの哲学』(2024、春秋社)は、「本書は、今日のVTuber文化の中で活躍するVTuberの典型的な特徴を抽出し、その特徴をある統一的な観点から体系的に解釈することを試みる著作であ」り(i)、その目論見に従って、全5章にわたりバーチャルYouTuberというアバターをまとった配信者文化についての研究を行うものだ。 本書評は、山野の議論の中核をなすVTuberの定義と、山野の研究態度についての批判を行う。 山野弘樹『VTuberの哲学』(2024、春秋社) https://amzn.to/4aorG8R 「彼女/彼/彼らをVTuberとする!」と私たちは宣言しているのだろうか? 山野は、VTuberをこう定義している。 我々は、「VTuberとしてデビューし、VTuberとして活動状態にあるという条件を満たす任意の配信者が、VTuber文化において「VTuber」という

          山野弘樹『VTuberの哲学』(2024、春秋社)書評*機能についての不明点と研究態度へのコメント - Lichtung
        • 最近読んだ本シリーズ:『悪口ってなんだろう』『「美味しい」とは何か』『ケアしケアされ、生きていく』 - 道徳的動物日記

          図書館で借り、出退勤の電車で流し読みした新書本たち。どの本もdisることにはなるけれど、ちゃんと読めてはいないです。 悪口ってなんだろう (ちくまプリマー新書) 作者:和泉悠 筑摩書房 Amazon 「「からかい」の政治学」や『笑いと嘲り』を読んだ流れで、関連してそうな本書も読んだ。 本書では「悪口は人のランクを下げるから悪い」という主張に基づいて議論が展開されるのだが、悪口の問題の一部や一側面を説明する理論として「ランキング説」を採用するならともかく、まるで悪口の問題がすべて「ランキング説」で説明できるかのような書き振りであるところが微妙だった。少なくともわたしとしては、悪口を言う側としても言われる側としても、ランキングの優劣よりももっと重要なポイントがあるように思える。たとえば悪口を言う人は「相手の痛いところをついてやろう」と思うものだし、悪口を言われる人は自分の弱みを攻撃されるか、逆

            最近読んだ本シリーズ:『悪口ってなんだろう』『「美味しい」とは何か』『ケアしケアされ、生きていく』 - 道徳的動物日記
          • 『なぜ美』と『近代美学入門』への補足 - logical cypher scape2

            井奥陽子『近代美学入門』 - logical cypher scape2のブクマが急速に伸びている。本ブログのTOP3に入ってきた。 https://hatenablog.com/ に載ったので多分そのせいだと思う。普段、見かけないidからのブクマが多いし。 (なお、ブクマが増えるとブログを書いている身としては単純に嬉しいが、伸びるかどうかはわりと偶然の産物でしかないことも分かっている) それはそれでいいとして、同日にデビット・ライスさんがやはり同書を取り上げた記事を書いているのに気付いた。 ここから直接アクセス流入しているわけではないが、はてなブックマークのホットエントリに並んだので相乗効果はあったのかもしれない。 タイトルにあるとおり、『近代美学入門』だけでなく『なぜ美を気にかけるのか』も一緒に扱われている。 『なぜ美』の方は、当ブログでは以下で取り上げた。 さて、ライスさんの記事は、

              『なぜ美』と『近代美学入門』への補足 - logical cypher scape2
            • わたしたちが『ビデオゲームの美学』を読むこと - 青色3号

              フィールド上で方向転換する。コンピューターが接続されているテレビ画面の左上四分の一に草原が映っている。画面の下半分はぼくら一同に関する情報で埋め尽くされている。ヒットポイント、アーマーポイント、スペルポイント、装備中の武器。画面の右上四分の一には今のところ何も出ていないが、いずれ遭遇した敵の情報で埋まり、戦闘に関する数字情報がスクロールし、ゲームがぼくたちに伝えるさまざまな言葉のメッセージが表示されることになる。 ──マイケル・W・クルーン『ゲームライフ』1 先日の『デジタルゲーム研究』の感想のなかで、人文系のビデオゲーム研究について(なかでも、いわゆるゲームスタディーズを念頭に置いて)「自分はこういうのっておもしろいと思ってるんだよな」と書きました。今回はその掘り下げも兼ね、『ビデオゲームの美学』という書籍をやや詳しく紹介してみようと考えています。表題2のとおり、「わたしたち」が読むもの

                わたしたちが『ビデオゲームの美学』を読むこと - 青色3号
              • hasaqui連載 第一回日本の黎明期コンピュータアートを再考する | MASSAGE MAGAZINE マッサージマガジン

                この連載では、まだ歴史の精査が十分になされていない日本における黎明期のコンピュータアートの荒野を逍遥し、新たな小道を切り拓くことを目指している。そのためには、コンピュータアートのパイオニアたちの足跡を横断的に確認する必要がある。日本におけるパイオニアは、美学者であり1964年の春に日本で最初のコンピュータによる画像を制作した川野洋、66年に結成しプロッターによるコンピュータアートやインタラクティブアート作品を制作したCTG(Computer Technique Group)1、67年に日本で初めてコンピュータによるアニメーションを制作したSARASVATI2、73年に樹木構造を生成するプログラムを実現した出原栄一といったアーティストたちである。「黎明期」は主に60年代から70年代前半を想定しているが、適宜それ以降の事象についても取り上げるつもりである。 加えて、いくつかの観点から黎明期のコ

                  hasaqui連載 第一回日本の黎明期コンピュータアートを再考する | MASSAGE MAGAZINE マッサージマガジン
                • 「行為」は美学にとって真っ当な主題と言えるのか - obakeweb

                  7月27日土曜日に大妻女子大学で、「美と行為」をテーマにした公開ワークショップに登壇します。 6月はじめの勉強会で、「美的行為論の論文を書いている」と森さんにお話したところ、5人も登壇者が集まり、難波さんにおしゃれポスターを用意していただき、あれよあれよと大規模なワークショップに発展しました。ありがとうございます、とても楽しみです。 自分は「美しくする、美しくやる:なにが行為を美的行為にするのか」と題して話す予定です。要旨はこんな感じ。(他の方の要旨は上の森さんのブログにあります。) なにが行為一般から美的行為を線引きするのか。本発表は、美的なものと形式の概念を結びつける古典的見解に基づき、美的行為を特徴づける。(1)行為の対象、(2)感性の行使、(3)美的評価からの動機づけが、いずれも美的行為をうまく線引きできないことは、興味深く、独特な仕方で美的と言える行為などないことを示しているよう

                    「行為」は美学にとって真っ当な主題と言えるのか - obakeweb
                  • ディッキー「芸術とはなにか」の要約——分析美学基本論文集② - netenete.

                    凡例:「」内は引用や論文タイトルなど、〈〉内はぼくによる強調。引用に際しては文脈に合うように断りなく改訳することがあります。また、引用ページは面倒なので明記しません。 ジョージ・ディッキー「芸術とはなにか——制度的分析」今井晋訳(西村清和編『分析美学基本論文集』所収)を要約する。芸術の定義論の古典であり、芸術の定義は不可能だとする論に反対して芸術の〈制度的定義〉をおこなったことで有名。ひとことで要旨をいうならば〈芸術とは、人工物であり、かつアートワールドの人間に鑑賞の候補だと認められたものである〉となるのだが、これだけではわけがわからないのでさっそく本題に。 論文の構成は以下。まず美学者モリス・ワイツの〈定義は不可能である〉という主張に反対し、芸術の定義が可能であることを示す。それからじっさいに芸術の定義を打ち出し、最後にまたワイツを批判して終わり。 ワイツ論文の紹介と批判 芸術の定義 ふ

                      ディッキー「芸術とはなにか」の要約——分析美学基本論文集② - netenete.
                    • ディッキーの「アートワールド」について|obakeweb

                      いわゆる芸術の制度説(制度的定義)の提唱者として挙げられがちなアーサー・C・ダントーとジョージ・ディッキーのうち、ダントーのほうは明確に誤読で、本人が公式に否定している。「制度」をどう理解するにせよ、ダントーは芸術制度の存在を持ち出して、芸術作品であるという地位を説明したわけではない。ダントーの立場については最近高田さんが改めてまとめてくださったので、そちらを参照。 そういえばディッキーの制度説について読み漁っていた時期があり、分かったことのいくつかは日記にポツポツ書いていたのだが、この機にまとめてみようと思う。要点だけ先に述べるならば、しばしば誤ってダントーに帰属される「アートワールド論」、すなわち〈あるものが芸術作品かどうかはアートワールド=美術界隈のみんなで決めている〉という見解は、ディッキーのものですらない。そういう考えを「制度説」に期待するならば、ダントーどころかディッキーも「制

                        ディッキーの「アートワールド」について|obakeweb
                      • ダントー「アートワールド」の要約——分析美学基本論文集① - netenete.

                        アーサー・ダントー「アートワールド」(西村清和訳、『分析美学基本論文集』所収)を要約する。 この論文は芸術の定義論(芸術とは何か?)の古典とされるが、明示的に「芸術とは何か」という問いを立てているというより、ダントーは「ある対象oを芸術にするのは何なのか」という問いを立てているといったほうが精確だ。そして、かれによれば、それこそが「アートワールド」なのだ。アートワールドこそがあるものを芸術にするのである。 この論文は大きくいって二つの部分に分かれているといえる。一つ目は「アートワールド」という概念の導入と解説、二つ目は芸術の論理学的な分析だ。というわけで、本エントリーしてもそれに合わせて二つのセクションに截然と分けてしまい、それぞれの要約をおこなうことにする。 アートワールドとはなにか 芸術の論理学的分析 アートワールドとはなにか ダントーはまず芸術の定義論における「模倣理論」と「実在理論

                          ダントー「アートワールド」の要約——分析美学基本論文集① - netenete.
                        • ダントーの「アートワールド」について - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ

                          ダントーの「アートワールド」は芸術制度のことではないというのを、人に説明しようと思って、ダントーのテキストについてまとめていた。 実際ダントーの立場を説明しようと思うと、いろいろ大変なのだが、ダントーの「アートワールド」が制度ではないというのは、簡単に言える。本人が『ありふれたものの変容』の序文で否定しているからだ。そこで、ダントーは「アートワールド」という論文から芸術の制度説という立場が生まれたことについて、以下のようにコメントしている。 ありふれたものの変容:芸術の哲学 作者:アーサー・C・ダントー,Arthur C. Danto慶應義塾大学出版会Amazon くわえて、「アートワールド」の分析の土台のうえに、芸術の制度説と呼ばれるものを打ち立てた人びとにも感謝している。たとえその説自体は私の考えとかけ離れたものであろうとも。viii ダントーによれば、人々は「アートワールド」論文を元

                            ダントーの「アートワールド」について - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ
                          • レヴィンソン「仮説的意図主義」の要約——解釈の哲学 - netenete.

                            厳密なアカデミック・ライティングの作法(書誌情報とか)はけっこうサボっています。わかればよいスタイル。 ジェロルド・レヴィンソン「仮説的意図主義:主張、反論、応答」(Jerrold Levinson. Hypothetical Intentionalism: Statement, Objections, and Replies)を要約する。 が、そのまえに仮説的意図主義なるものをざっくり解説しておこう*1。なお、レヴィンソンの考察の対象は、一部を除いてもっぱら文学作品である。従って、本エントリーで「作品」という場合は文学作品を指すと思ってほしい。 文学テクストの意味を決定するのは何だろうか。まず思い浮かぶのは、①作者の意図が意味を決める、という考え。この考えによると、ある意味の不明瞭なテクストがあったとき、諸々の推論を通して「作者はこう意図してこの表現にしたはずだ」と答えを出せる。逆に見当

                              レヴィンソン「仮説的意図主義」の要約——解釈の哲学 - netenete.
                            • 最近読んだ本を大紹介!(日本アニメの革新、反逆の神話、近代美学入門) - 曇りなき眼で見定めブログ

                              またいろいろ本を読んだので紹介しまっせ。 氷川竜介『日本アニメの革新』 ジョセフ・ヒース&アンドルー・ポター、栗原百代訳『反逆の神話』 井奥陽子『近代美学入門』 氷川竜介『日本アニメの革新』 日本アニメの革新 歴史の転換点となった変化の構造分析 (角川新書) 作者:氷川 竜介 KADOKAWA Amazon 日本を代表するアニメ(と特撮)研究家・評論家の氷川竜介先生のアニメ史解説本。 アニメ史の新書としては津堅信之『日本アニメ史』も良い。 日本アニメ史-手塚治虫、宮崎駿、庵野秀明、新海誠らの100年 (中公新書 2694) 作者:津堅 信之 中央公論新社 Amazon cut-elimination.hatenablog.com 同書と比べて氷川先生の本書は、メインで取り上げる作品を絞り、歴史のストーリーに重きを置いている。なので読み物として読みやすい。また作画や撮影機材など技術面の解説も

                                最近読んだ本を大紹介!(日本アニメの革新、反逆の神話、近代美学入門) - 曇りなき眼で見定めブログ
                              • 紀伊國屋書店新宿本店ブックフェア「スタンリー・カヴェルからはじめる書棚散策」(2024年8月9日~9月30日)

                                このページは、スタンリー・カヴェル『理性の呼び声』・『フィルカル Vol. 9, No. 1』 の刊行を記念して開催するブックフェア 「スタンリー・カヴェルからはじめる書棚散策」 をご紹介するために、WEBサイト socio-logic.jp の中に開設するものです。 本ブックフェアは、2024年8-9月に、紀伊國屋書店 新宿本店三階にて開催されます。フェア開催中、店舗では 選書者たちによる解説を掲載した20頁のブックレットを配布しますが、このWEBページには その内容を収録していきます。 なお、過去にも本フェアと同趣旨のブックフェアを開催しています。そちらの紹介ページもご覧いただければ幸いです: 実践学探訪: 概念分析の社会学 ( エスノメソドロジー ) からはじめる書棚散策(2014) 社会のブックガイド:ルーマンからはじめる書棚散策(2015) 分析美学は加速する:美と芸術の哲学を駆

                                  紀伊國屋書店新宿本店ブックフェア「スタンリー・カヴェルからはじめる書棚散策」(2024年8月9日~9月30日)
                                • 学術系ブックリストのリスト - Sokratesさんの備忘録ないし雑記帳

                                  ネット上で閲覧できる学術系ブックリストのリスト.網羅性に過度な期待はしないでください. 数学系のブックリストのリスト 数理論理学系のブックリストのリスト 物理学系のブックリストのリスト 情報学・計算機科学系のブックリストのリスト 人文学系のブックリストのリスト 国文学系・日本文学系のブックリストのリスト 言語学系のブックリストのリスト 日本語学系のブックリストのリスト 英語学系のブックリストのリスト サンスクリット語のブックリストのリスト 教育学系のブックリストのリスト 政治学系のブックリストのリスト 歴史学系のブックリストのリスト 人類学系のブックリストのリスト 論理学系のブックリストのリスト 倫理学系のブックリストのリスト 科学方法論のブックリストのリスト 哲学系のブックリストのリスト (人の名前)の哲学のブックリストのリスト デカルトの哲学のブックリストのリスト ハイデガーの哲学のブ

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                                  • ゲームの「不便さが楽しい」を考える - ビデオゲームとイリンクスのほとり

                                    よくゲームにおいて「不便であることが楽しい」と言われることがある。それは、どのような場面で言われるかと言うと、次のような感想に対する反論として語られる場面をよく見る。 このゲームの"この要素"が、不便で楽しくない 「この要素」という部分には様々なものが代入される。例えばよくあるものだと「荷物の重量制限」などが入るだろう*1。RPGというジャンルでは、主人公が持てる荷物の重量には上限が設けられている作品がある*2。一方で、ゲームによっては、重量制限がないゲームも多い。主人公のポケットやリュックに到底入りきらない量のアイテムを入れられる作品も結構ある*3。そういう作品と比べてしまうと、「重量制限」は不便な要素と感じるだろう。 こうした感想や評価を「不便否定言説」と仮に呼ぶこととしよう(略して、否定言説)。 そして、最初に掲げた「不便が楽しい」という言説は、否定言説に対する反論として語られる。こ

                                      ゲームの「不便さが楽しい」を考える - ビデオゲームとイリンクスのほとり
                                    • 初期分析美学における芸術創造論 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ

                                      ヴィンセント・トマスの"Creativity in art"および周辺の文献をちょっと調べたので備忘録的に残しておく。 Tomas, Vincent (1958). Creativity in art. Philosophical Review 67 (1):1-15. ヴィンセント・トマスのこの文献に関しては、少し前に出た村山正碩「意図を明確化するとはどういうことか: 作者の意図の現象学」が詳しい。 村山はトマスの論文を、以下の「トマスのパズル」を提示するものとしてまとめている(p.105)。 芸術制作は芸術家によってコントロールされている。 行為者が自分の行為をコントロールする典型的ケースでは、生み出したい結果を意識し、目の前の現実がその結果と一致するように作業を進める。 しかし、芸術制作では、芸術家は生み出したい結果を(現実がそれに一致すれば、作品が完成するほど)十分に意識しているわ

                                        初期分析美学における芸術創造論 - うつし世はゆめ / 夜のゆめもゆめ
                                      • デイヴィス「芸術の存在論」の要約 - netenete.

                                        ページ数表記をしていない「」内は引用ではありません。[]内はぼくによる解釈や補足あるいは疑問です。 Stephen Davies「芸術の存在論」(原文)を要約する。英語圏の美学の教科書に収録されている、芸術の存在論入門にちょうどよさそうなテクスト。 まず芸術の存在論ってなんですかという話だが、これは美学者の森功次がわかりやすくまとめてくださっている。曰く、 ここで言われる存在論とは、世界に存在する各存在者はどのような基準で分類され、どのような枠組みで整理されるべきか、といった学問です。 芸術作品についてそういう考察を行った場合、文学作品、音楽作品、彫刻作品などの個々の作品はいつ同じで、いつ始まり、いつ終わるのか、といったことが問題になります。この分野の一つの目標は、各芸術作品の存在条件(どういう条件がそろったら作品は存在するのか)、持続条件(どういう条件がそろったら作品は存在し始め、どうい

                                          デイヴィス「芸術の存在論」の要約 - netenete.
                                        • M. Green「フィクションと認識的価値」(2022)論文紹介 - 夏ふようのメモ

                                          Mitchell Green, Fiction and Epistemic Value: State of the Art, The British Journal of Aesthetics, Volume 62, Issue 2, April 2022, Pages 273-289, https://doi.org/10.1093/aesthj/ayac005 論文について アブストラクト(訳) 1.イントロダクション 2.認知主義、新認知主義、そして補助的概念 二つの図式的[schematic]テーゼ 3.語ることと示すこと 4.(新)認知主義の変種 証言[testimony] 寓意[allegory] 例解的実演[illustrative demonstration] 共感的知識/理解 思考実験 概念的革新[conceptual innovation] 自己知識/理解 5.(新)認

                                            M. Green「フィクションと認識的価値」(2022)論文紹介 - 夏ふようのメモ
                                          • 感想をどう書くか/なぜ書くか/何を書くか:あるいは、君たちはどう生きるか - 鷲はいまどこを飛ぶか

                                            2024年がはじまりました。今年もよろしくお願いします。 昨年末、周囲でブログがたくさん稼働している音が響いていたので、ここはひとつ、ブログを継続的に書く――感想を書き続けるために個人的に考えてきたことを公開しようかと思います。数ヶ月前、ミステリ研内で発表したものです。めちゃくちゃ説教臭いですが、伝えるか伝えないか、だったら、せめて言葉を残しておこうと思った次第。みなさんのブログ更新の一助になれば幸いです。 0. はじめに 1. なぜ書くのか 1.1. 自分以外の読者のため 1.1.1. 同じ本を読んだひとに向けて 1.1.2. まだその本を読んでいないひとに向けて 1.2. 作者のため 1.2.1. 遠くの作者 1.2.2. 近くの作者 1.3. 自分のため 2. どう書くのか 2.1. 書くことの習慣化 2.2. 書きながら考える 2.2.1. フォーマットをつくる 2.2.2. 問題

                                              感想をどう書くか/なぜ書くか/何を書くか:あるいは、君たちはどう生きるか - 鷲はいまどこを飛ぶか
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