山野弘樹『VTuberの哲学』(2024、春秋社)は、「本書は、今日のVTuber文化の中で活躍するVTuberの典型的な特徴を抽出し、その特徴をある統一的な観点から体系的に解釈することを試みる著作であ」り(i)、その目論見に従って、全5章にわたりバーチャルYouTuberというアバターをまとった配信者文化についての研究を行うものだ。 本書評は、山野の議論の中核をなすVTuberの定義と、山野の研究態度についての批判を行う。 山野弘樹『VTuberの哲学』(2024、春秋社) https://amzn.to/4aorG8R 「彼女/彼/彼らをVTuberとする!」と私たちは宣言しているのだろうか? 山野は、VTuberをこう定義している。 我々は、「VTuberとしてデビューし、VTuberとして活動状態にあるという条件を満たす任意の配信者が、VTuber文化において「VTuber」という