歩兵砲の照準器をのぞき込んで砲撃目標を定める日本陸軍の兵士=中国・広東省で1941年(昭和16年)9月、阿部徹雄撮影 太平洋で米国と戦争をしていたとき、中国戦線はどうなっていたか。「後期日中戦争」の著書がある、愛知学院大学准教授の広中一成さんに聞きました。【聞き手・須藤孝】 ◇ ◇ ◇ なぜ「後期」 ――なぜ「後期日中戦争」なのでしょう。 広中氏 8年間の日中戦争が半分を過ぎたころに、太平洋戦争が始まりました。 私自身、盧溝橋事件や南京事件のような日中戦争の前半部分については事細かく話すことができても、「太平洋戦争の時の日中戦争」について聞かれると、うまく説明できない経験をしました。 太平洋戦争中の中国戦線に触れた研究はあっても、日中戦争全体のなかで取り上げられることが多く、後半に焦点を当てたものは少ないのです。 ――抜け落ちています。 ◆アジア太平洋戦争の枠組みのなかでは、真珠湾攻撃後は