日本の学術の終わりの始まり――。国内有数の学者たちが強い危機感を訴えている。科学者の代表機関「日本学術会議」の法人化を強行する政府の方針に対する反発だ。学術会議といえば、4年前も当時の菅義偉首相が会員候補を任命拒否して騒動になった。やたらと狙われ、異例の抗議も起きている。なぜ、さほど社会問題化しないのか。 「理念なき法人化が日本の学術の終わりの始まりになることを強く懸念している」。ノーベル物理学賞受賞者で東京大卓越教授の梶田隆章さん(65)らは6月、記者会見で切々と訴えた。発表した声明には、東大学長や国際科学会議会長を歴任した工学者の吉川弘之さん(91)、京都大学長を務めた霊長類学者の山極寿一さん(72)ら学術会議の歴代会長6人が名を連ね、学術会議の独立性と自主性を尊重するよう求めた。政府の方針に…