今でも忘れられないその記憶は、2年前にさかのぼる。 2018年8月29日、体操女子の宮川紗江が都内で会見を開いた。 当時18歳の彼女が、日本体操協会幹部からパワハラを受けたと告発したことは衝撃的だった。時の人となり、世間を巻き込む騒ぎとなった。 その3カ月後、日本体操協会の第三者委員会は「パワハラはなかった」と調査結果を報告。パワハラ騒動は静かに幕を閉じた。 「このまま体操ができなくなるのかなと思いました」 宮川は騒動の渦中にいた当時をこう振り返る。あれから2年。今、どのように過ごしているのか。会見を開いて声を上げた理由を聞くと、そこには日本体操界へのある思いがあった。 「これだけやったのに…変わらない」――2年前の会見から振り返らせてください。当時の記憶は今も鮮明ですか? もちろん今も記憶に残っています。2年前のことですが、最近のように感じます。私はあの会見で、体操界が変わればいいなと思