日本経済新聞の名物に「私の履歴書」がある。功成り名を遂げた人物が一ヶ月にわたり自伝を連載する(注1)。多くは記者が取材して書いた文章に本人が手を入れたものだろうが、登場者はおしなべて上機嫌だ。 功も名もない私が登場できる場所ではない。「日(を)経(た)新聞」と言うぐらいだから、古い話がよく似合うね、と嫌味の一つも言ってやりたいところなのだが、あの種の自分語りはいい気分のものではないかと想像される。noteに自分で書くのなら許されるのではないか。「私の履歴書」第一回のつもりで、自分のルーツを書いてみた。暇潰しにしかならないが、読んでくれたら嬉しい。 【私家版・私の履歴書第一回】 山師と株屋の孫として 私は1958年5月8日に旭川市で生まれた。父は山崎富士彦、母の名は明美だが母の旧姓も山崎だ。しかし二つの山崎の出自は全く別だ。 父の三代前の山崎与吾衛門という人物が、江戸時代に越後から松前藩の江